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性同一性障害のフィットネス会員が提訴へ [現代の性(性別越境・性別移行)]

12月24日(木)

京都の性同一性障害の人がフィットネスクラブを訴えた問題に、すぐに反応しなかったのは、多忙だったこともあるけども、微妙に引っかかるものがあったから。

訴訟の結果を、私なり予想すると、こんな感じ。

(1)自ら望む性別で人間らしく生きる権利(憲法13条の幸福追求権)は最大限に保障されなければならずフィットネスクラブ(コナミ・スポーツクラブ)側の対応は問題である。
(2)戸籍上の性別を基準にする「線引き」を変えて、「性別適合手術を受けていれば」OK。
(3)自ら望む性別で人間らしく生きる権利よりも公共の利益を優先する、つまり、フィットネスクラブ側の主張を全面的に認める。

現状の社会認識からして、予測的には(1)が5%以下、(2)が15%、(3)が80%以上だろう。

つまり、社会の中で、なんとか自分が望む性別で生きようとしているトランスジェンダーにとっては、良い結果にならない可能性が高いと思う。
(3)の場合、「現状追認」といえばそうだが、あらためて司法の場で「念押し」されるのは、けっこうダメージがある。
(2)なら「一歩前進」と考える当事者・支援者も多いと思うが、いまさら性別適合手術の有無で線引きする判決を喜ぶ気には私はなれない。

そもそも、こうした問題を司法の場に持ち出すことに、私は引っかかりがある。
もちろん、訴訟を起こす自由は誰にでもあるから、裁判をすること自体を批判する気はないが。

記事のコメントで東優子さんが言っているように、施設側が「他の利用者の動向も見て検討するなど柔軟に対応」すれば、済む問題だと思う。
たぶん、類似の施設の多くでは「ケース バイ ケース」で対応しているのが現実だと思う。

それを裁判の判決という形で、きっちり法的に線引きしてしまうことが、果たして多くのトランスジェンダーの利益にかなうことなのか? 

社会的な性別移行にあたって、フィットネスクラブは利用できなくなったが、他のいろいろな場面で「女性扱い」を受けている私には、自信をもって「利益にかなう」とは言えないのだ。
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性同一性障害のフィットネス会員が提訴へ 京都

コナミ側から渡された同意書。「性別(戸籍上の性別)に準じた施設利用を」とある(店名を画像処理しています)

性同一性障害で女性に性転換した京都市の40代経営者が、フィットネスクラブから戸籍上の男性として施設を使うよう求められ人格権を侵害されたとして、運営元のコナミスポーツクラブ(本社・東京)に賠償を求める訴訟を近く京都地裁に起こす。性同一性障害特例法の規定で戸籍の性を変えられない事情があり、「人の生き方を不当に制約する法のあり方も問いたい」と訴える。

代理人の南和行弁護士(大阪弁護士会)によると、経営者は2009年6月、コナミが運営する京都府内のクラブに男性として入会。12年2月に性同一性障害と診断され、ホルモン剤の投与で身体的特徴も女性に近づき、昨年3月に性別適合手術を受けた。

日常生活を女性として送る一方、クラブに行く時は化粧を落とし、男性の服装で通っていた。手術を前に女性用の更衣室やトイレが使えるか、インストラクターに確認した。しかし、支店長の意向で「戸籍上の性別も変えないと無理」と伝えられたという。

障害の診断書と手術の承諾書を支店長に示すと、女性名で会員証を再発行すると言われたが、後日、「本社がだめと言っている」と撤回されたという。さらに「他の利用者が不快に思わないよう男性の格好を」と求められ、「戸籍上の性別に準じた施設利用」に同意する書面への署名・押印を促されたとしている。

性同一性障害特例法で、戸籍上の性別を変えるには未成年の子どもがいないことが条件の一つとなる。経営者は10代の娘がいて、成人するまでは戸籍の性を改められない。そうした事情も支店長に伝えたが、対応は変わらなかったという。

経営者側は、コナミの対応は自ら望む性別で人間らしく生きる権利を妨げ、幸福追求権を保障した憲法13条の趣旨に反するなどと主張。慰謝料など約480万円を求める。

コナミは取材に対し、性同一性障害の人に対しては戸籍上の性別に即していることを基準に対応していると説明。「非常にデリケートな問題。他のお客様の理解も必要」としている。

性同一性障害の人の施設利用をめぐっては先月、戸籍上は男性だが心が女性という経済産業省の職員が女性トイレの使用制限などで差別を受けたとして、国に賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしている。

■息苦しさに「声上げたい」

「勇気を出して声を上げないと、世の中の意識は変わらない」。経営者は提訴に踏み切る思いを語る。

小学校に入った頃から、周囲とのギャップを感じるようになった。自分を「オレ」と呼べなかった中学時代。詰め襟の制服を着るのに嫌悪感を覚え、そっても生える体毛に苦しみ、「おかま」といじめられた。

大学卒業後、高校時代から友人だった妻と結婚。転機は30代後半、生後まもない息子を小児がんで亡くした時だ。「人が生きる意味って……」。悲しみの中で、今ある人生を大切にしようと思い定めた。「変わりたい」。娘は泣いたが、「パパが苦しむのは私もつらい」と言ってくれた。

周囲に「理解」を押しつけるつもりはない。だからフィットネスクラブでも息を潜めた。でも、戸籍の性を押しつけられるのはおかしいと思う。「少数者が息苦しい社会を放っておけば、いずれ誰にとっても生きづらい世の中になる」(阿部峻介)

■戸籍変更の要件、先進国では異例

《東(ひがし)優子・大阪府立大教授(性科学)の話》 施設側の戸惑いは理解できるが、他の利用者の動向も見て検討するなど柔軟に対応してほしかった。戸籍上の性別変更の難しさも問題。未成年の子がいると制限されるのは「子どもがショックを受けて家族がバラバラにならないように」という趣旨とされるが、不合理な要件で先進国では異例。当事者には大きな壁になっている。「当たり前の生活」は人それぞれで、自分らしく生きる権利は最大限尊重されるべきだ。その多様さを社会はどう受け止めるべきかを問う訴訟になるだろう。
     ◇
〈性同一性障害〉 心と体の性が一致しない状態の診断名。04年施行の性同一性障害特例法は、性別適合手術を経て、20歳以上▽未婚▽生殖機能がない――などの条件を満たせば家裁に性別変更を申し立てられると規定。当初は「子どもがいない」ことも条件だったが、08年に「未成年の子どもがいない」に改正された。家裁が性別変更を認めたのは昨年末現在5166人。

『朝日新聞』2015年12月18日17時50分
http://www.asahi.com/articles/ASHD77593HD7PTIL02K.html
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コメント 6

カナッペ

よくGIDの人たちが主張する「わたしたちは女であり女装とは違う」という主張に似た話かと思います。
どんなに内心で「自分は女性だ」と信じても、生物学的には男であり、それは他人が判断できることではないと思います。
つまり、男性が女性用トイレを使用するという事実は、受け入れられない女性がいても責められないと思います。
訴えるなら、「男女共用トイレを作れ」と要求するのが現実的ではないでしょうか?

by カナッペ (2015-12-24 20:35) 

ゆう

主張はわからなくはないけれど、いかに女性に見えようと、
昨日まで男性扱いだったのに女性扱いしろといわれても違和感ありますよね。実際には戸籍まで提出させることはないと思いますし、別の施設に入会すればお互いに問題は起きないのにと思いますが。不要な波風は立てたくないですね、私の場合は。
by ゆう (2015-12-26 07:45) 

koko

逆に男子トイレに入ることに対して不快感を抱く人も調査したらどうですか?
女子トイレの使用による不快感を上回れば、女子トイレを使ったほうが望ましいという結論になりますし。
女子トイレだけに着目するのはバイアスがかかっているとしか思えません。
by koko (2016-01-02 20:45) 

なみ

そうですね。
女装の方々には「利益にかなう」裁判では無いのかもしれません。
女装者とGID当事者の区別がはっきりとなされる可能性が少なからずあることは事実です。
でも、多くのGID当事者にとっては画期的な結果になる可能性が高い裁判であることは間違いありません。
私の法律解釈では、スポーツクラブ側が主張する法的根拠は「施設管理権」のみしかありません。
そもそも「施設管理権」とは無制限に主張できるものではなく、あくまでも「憲法に規定される基本的人権に抵触しない程度で、刑法等の現行法に抵触しない範囲」でなければなりません。
この場合、性別適合手術まで受けた原告を男性として処遇することが公益に利することでしょうか?
おそらく司法の判断は何らかのかたちで原告勝訴となるでしょう。
なぜなら同様のGIDの処遇に関する訴訟では原告勝訴の複数の判決が確定しています。
最近では法務省が「性同一性障害等を有する被収容者の処遇について」の指針を通達しています。
つまり「3)自ら望む性別で人間らしく生きる権利よりも公共の利益を優先する、つまり、フィットネスクラブ側の主張を全面的に認める」ことは、司法では遠の昔に否定されているわけです。
仮に、可能性は極めて低いでしょうが、施設管理権が全面的に認められたとしても判決の内容は「ケースバイケース」の結果として、スポーツクラブの判断を尊重するものとしかなりえないわけで、仰せのようなマイナスの効果はありません。
このような司法判断が既に出されている現状を鑑みて、はたしてスポーツクラブは全面的に争うでしょうか?
by なみ (2016-01-05 05:52) 

山本伊太郎

俺も性同一性障害なんで女性用更衣室で服着替えたいわぁ(笑)
んで、女性用更衣室で隣の若い女の子の着替えをじっくりとみて楽しみたいわぁ。
by 山本伊太郎 (2017-07-05 23:29) 

三橋順子

この訴訟、結局「和解」となりました。

「和解」なので、どういう形で決着したのか不明確なのですが、どうも、スポーツクラブ(コナミ)側は、従来の戸籍性別を重視した姿勢を変えたわけではないようです。
私の予想の(2)と(3)の間という感じでしょうか。

(参照)
https://www.buzzfeed.com/jp/kazukiwatanabe/20170619?utm_term=.diba8RMvA#.wq5849vER
by 三橋順子 (2017-07-06 02:29) 

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