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年表を作る [性社会史研究(性別越境・同性愛)]

7月13日(木)

年表を作るって、すごく大変なのだ。

年表は歴史事実で構成しなければならないから、まず、事実関係を調べないといけない。
それには、まず膨大な文献を集めて、読み込み、事実を確定していけなければならない。

その次に、どの事実を年表に記載するかの取捨選定作業になる。
これがまた大変。
スペースがあるのなら、集めたデータを全部載せてしまった方がよほど簡単だが、実際にはそうもいかない。

私は、2000年に「戦後日本トランスジェンダー社会史年表」を作成した(『戦後日本〈トランスジェンダー〉社会史Ⅰ』 中央大学矢島研究室、2000年3月、 P24~91)。
1945年~1999年までの、トランスジェンダーに関するできる限り詳細な年表(A4版68頁)だが、作業にはまるまる1年を要した。

その年表に基づいて「戦後日本トランスジェンダー社会の歴史的変遷の素描」(同上、P6~23)を書き、さらにそれを基にして、「日本トランスジェンダー略史」(米沢泉美編著『トランスジェンダリズム宣言-性別の自己決定権と多様な性の肯定-』社会批評社、2003年5月、P96~129)をまとめた。

そして、2000年代の分を加筆して「日本トランスジェンダー小史 ー先達たちの歩みをたどるー」(『現代思想』2015年10月号 青土社、2015年10月、P218~230)を書いた。
戦後日本におけるトランスジェンダーの歴史の大要は、これでたどることができる。

年表は1999年で止まっているが、2000年以降の分を増補するとなると、すごく大きな作業量になる。
1999年以前の分も、新たな事実がいろいろ判明しているので、本当は訂正・加筆をしたい。
ただ、私にはそこに振り向ける気力と体力、そして時間がもうない。

口はばったいが、日本のトランスジェンダーは自分たちの先輩たちが為してきたこと、自分たちがたどってきた道筋(歴史)を明らかにする努力をそれなりに積み重ねてきた。

それに対して、日本のゲイ、レズビアンは、長らく自分たちの歴史に関心を抱かず、それを明らかにする努力を怠ってきた。
だから、現在でも、せいぜい略年表レベルのものしかなく、ちゃんとした通史が書けない。

今からでも、まだ間に合う。
日本のゲイ、レズビアンが、自分たちの歴史に関心を持ち、その歴史を明らかにし、詳細な年表を作る作業に取り組んでほしい。

歴史を明らかにすることは、現在の自分たちがプライドを抱き、未来への道筋を明らかにすることにつながるのだから。





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コメント 2

美奈

おっしゃる通りですね。 年表自体を掲示している本は残念ながらとても少ないのが現状ですね、伏見憲明編集の『ゲイという経験』や武光誠監修の『日本男色物語』などで、伏見さんの本は近代史以降については、比較的詳しい年表ではありますけど大抵は大雑把な略年表を載せている程度で、海外の歴史になると今だ未見です。歴史的事件や出来事が関わってくる事も多々あるので年表は欠かせません。
by 美奈 (2017-07-18 18:33) 

三橋順子

美奈さん、いらっしゃいま~せ。

出来の良い年表はとても有益なものですが、逆に出来の悪い年表は歴史認識を誤るという点で、とても困りものです。

だからこそ、もっとコミュニティの歴史に関心をもって欲しいのですが、なかなか・・・。
by 三橋順子 (2017-07-19 23:08) 

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