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『ホルモンと臨床』(医学の世界社)「特集/内分泌科医が理解すべきトランスジェンダー」 [現代の性(性別越境・性別移行)]

10月7日(土)

『ホルモンと臨床』(医学の世界社)63巻 4号 2015年 4月号(実際は2017年10月刊行)は、「特集/内分泌科医が理解すべきトランスジェンダー」。
ホルモンと臨床201504.JPG
【目次】
「序:なぜ内分泌科医はトランスジェンダーを理解すべきなのか?」(佐々木掌子)
「日本における性別越境現象の歴史と現在」(三橋順子)
「ホルモン療法を求めて医療機関を受診するものの多様性」(針間克己)
「トランスジェンダーの性指向と性行動」(石丸径一郎)
「トランスジェンダーと「声」」(正岡美麻)
「性別違和を持つ子どもと周囲への心理教育」(佐々木掌子 )
「トランスジェンダーの児童・生徒と学校」(土肥いつき)
「思春期の二次性徴抑制療法について」(高谷竜三)
「男性化ホルモン療法の臨床と課題」(舛森直哉)
「女性化ホルモン療法の臨床と課題」(石原 理)
「性同一性障害の外科治療の現状と課題」(百澤 明)
「GID(性同一性障害)学会の活動と取り組むべき課題」(中塚幹也)
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(私以外)すごく充実したラインナップ。
それにしても、なんでいちばんヤバいことを書いた論考を前の方に並べるのだ? 冷や汗もの。

医学雑誌なので、お値段が高い(2600円+税)ですが、図書館などで、ご覧になってください。

【追記(8日)】
針間克己先生の論文「ホルモン療法を求めて医療機関を受診するものの多様性」を読む。
性別移行の「典型的でないもの」の「多様性」に踏み込まれていて、おもしろかった。
「いわゆる『Xジェンダー』」「性欲や性反応に嫌悪感をもつもの」「女装をより楽しむ目的のもの」「あえて、両性具有的な身体特徴の獲得を目指すもの」など、「性同一性障害」という枠組には入らなかった存在が「トランスジェンダー」という形で枠を広げたことで可視化されている。

舛森直哉先生の「男性化ホルモン療法の臨床と課題」と石原理先生の論文「女性化ホルモン療法の臨床と課題」を読む。
性別適合手術だけでなくホルモン投与についても(男性ホルモン投与も女性ホルモン投与も)治療後の追跡データは海外のものがほとんどで、国内のデータがまったく乏しいことを改めて認識。
つまり、「治療」の効果が学術的には不明なわけで、これでは健康保険適用は難しいだろう。
効果不明の「治療」に保険を認めるほど、日本の健康保険システムは甘くない。
地道なデータの収集・蓄積と分析・論文化を怠ってきたツケは大きい。
でも、お医者さんって忙しすぎるのだよね。


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コメント 3

三橋順子

すいません。ブログの編集上の都合で、いただいたコメントを転記しました。
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前半は、リアルな現場からの声、
後半は、高尚な大学のセンセイからの御高説、
という対比が興味深いです。
ただ、ホルモン療法の参照文献がほぼ海外のもので、国内データがないことが改めてはっきり示されています。これでは保険適用は…

ところで2015年4月号が今頃出るというのは、かなりのんびりした出版社だと思いました。
by AJ (2017-10-07 16:43)
by 三橋順子 (2017-10-08 00:22) 

三橋順子

AJさん、いらっしゃいま~せ。
「2015年4月号」、てっきり誤植だと思いました。
定期刊行物の場合半年くらいの遅れはときどきありますが、2年半の遅れはちょっと信じられないです。

先生のご論考、性別移行の「典型的でないもの」の「多様性」に踏み込まれていて、おもしろかったです。
by 三橋順子 (2017-10-08 00:29) 

三橋順子

AJさん
今、舛森先生と石原先生の論考を読みましたが、たしかにホルモン治療の効果を示すデータが、ほとんど外国のもので、国内のデータが乏しいです。
国内のデータが乏しいのは、SRSの予後については指摘したことがありますが、ホルモン投与も同様なのですね。
これでは、健康保険適用は困難でしょう。
治療後のデータがないのに保険適用してくれるほど、日本の健康保険システムは甘くないです。


by 三橋順子 (2017-10-08 01:19) 

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