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ターナー症候群(性染色体がXO)の事例としては特異 [現代の性(一般)]

6月9日(土)

他人の「性別」についてあれこれ言うのは、本来、失礼なことで、書くべきかどうか迷ったが、ご本人が「性別」をお仕事のネタにしていて、それが映画化されたことで、社会的な影響もあるだろうと思い、あえて書かせていただく。

先日、試写を見せていただいたドキュメンタリー映画「性別が、ない!インターセックス漫画家のクィアな日々」(渡辺正悟監督、2018年)で、インターセックスはきわめて多様な疾患群という説明があるのに、肝心の主人公・新井祥さんの疾患がはっきりしないのが、いささか不審だった。

「染色体検査の結果、異常が見つかった」というコメントがあったので、帰宅後、調べたらターナー症候群(性染色体がXO)らしい。

この場合、Y染色体(の上にあるSRY遺伝子)は存在しないので、性分化のプロセスで男性化は起こり得ず、女性型になる。
したがって、出生時には女性として判別されるが、思春期以降、卵巣の機能が十分でなく、治療としては女性ホルモンを投与して、身体の女性化を進めるのが一般的。

新井さんの場合は、その真逆な道(男性ホルモン投与、乳房除去手術による男性化)を選択されたわけで、かなり特異な例。
「治療」の流れ的には、むしろ性同一性障害(FtM)にかなり近いと思う。

私は、性別は自己選択・自己決定だと考えるので、新井さんが身体的には男性化を、ジェンダー・アイデンティティは「中性」を選択されたことについて、何も言うことはない。

ただ、「性別が、ない!」というのは、新井さんの主観であって、医学的には「性別がないわけではない」。
ターナー症候群の場合、「ターナー女性」という言い方をするように、性別は女性の範囲。
また、ターナー症候群の女性の経過・帰着としては、新井さんの事例はかなり特異で、到底、一般的とは言えない。
それが疾患名を伏せた理由なのかなと思う。

逆に言うと、ターナー症候群という疾患名を出して、「性別が、ない」(中性)、男性ホルモン投与、乳房除去手術による男性化が映像化されたら、ミスリードになりかねないので、映画としてはこれで良かったと思う。


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