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アメリカのミシシッピ州で「反LGBT法」が施行 [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

4月7日(木)

アメリカのミシシッピ州で、「民間団体や組織、個人の真摯な宗教的信念、道徳的信条を、州政府機関による差別から守るため」の法案(下院法案1523号)が成立し、4月5日、フィル・ブライアント知事は州知事が署名したため、法律として施行されることになった。

これによって同州の事業者(企業経営者)や個人が、宗教的信念に基づいて同性愛者やトランスジェンダーに対する差別的処遇を行ったり、サービスを拒絶したとしても違法行為にはならなくなった。
つまり、宗教的信念の名のもとの、公然と差別することが可能になった。
この法律が「反LGBT法」と呼ばれるのは、そのためである。

なぜ、「宗教的信念」と反LGBTが連結するかと言えば、その原点は『旧約聖書』にある。
同書『旧約聖書』「レビ記」第20章13節には「女と寝るように男と寝る者は、ふたりとも憎むべき事をしたので、必ず殺されなければならない」とあり、また「申命記」第22章5節には「女は男の着物を着てはならない。また男は女の着物を着てはならない。あなたの神、主はそのような事をする者を忌みきらわれるからである」とあり、同性愛者(厳密には男性同性愛者)や異性装者は、神(ヤハウェ)が嫌う存在であり、殺したり、共同体から追放すべきことが明記されている。

つまり『旧約聖書』を教典とする宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)を信じ、教典に忠実であろうとする信念を持っている人(たとえば聖書原理主義の教派)にとっては、LGBTを差別することは神の教えに従うことなのである。
逆に、LGBTを差別することを違法行為とされることは、宗教的信念への行政の不当な介入ということになる。

大多数が「聖書の民」ではなく、こうした『旧約聖書』の宗教規範がほとんど実効性をもたない日本人からすると、差別を合法化する、とんでもない法律が成立したように思う人も多いと思う。
しかし、同様の法案は、ジョージア州やノースカロライナ州でも成立している。ジョージア州知事は各方面からの反対意見を考慮し拒否権を行使して施行されなかったが、ミシシッピ州知事は拒否権を行使しなかった(ノースカロライナ州に注目)。単に一時的な「バックラッシュ」ではなく、今後も同様の動きは続くだろう。キリスト教保守派の勢力が強く「バイブル・ベルト」と呼ばれるアメリカ南部とは、要はそうした風土なのだ。

アメリカ社会がLGBTにとっての理想のように思っている日本のLGBT活動家は、こうしたアメリカのもう一つの側面には目を瞑りがちだ。しかし、これもまたアメリカの現実である。そのことも直視してほしい。

『NEWS WEEK(日本語版)』2016年4月6日(水)18時03分
「ミシシッピ州で「反LGBT法」成立、広範な差別が合法に」
Mississippi Governor Phil Bryant Signs Anti-LGBT Bill into Law
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/lgbt.php