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日本における戸籍性別変更の内訳推定 [現代の性(性別越境・性別移行)]

3月6日(月)

「はりまメンタルクリニック」(東京千代田神田小川町)の針間克己院長は、2005~2016年の間に1273通の戸籍変更診断書を書いている(Anno Job Log)。

これは、同期間に戸籍の性別変更を行った6809人(最高裁判所発表の確定値)の約5分の1(18.6%)に相当する。

戸籍変更診断書を求めた人のほとんどは、家庭裁判所に戸籍の性別変更を申し立て、そのほとんどが受理されると推定される。

したがって、針間克己院長が執筆した戸籍変更診断書は、日本の戸籍性別変更全体の5分の1のサンプルと考えて、大きな過ちはないと考える。

最高裁判所のデータにはFtM、MtFの区分がなく、性別移行の内訳は不明だが、「はりまメンタルクリニック」のデータにはFtM、MtFの別が示されていて、年ごとのFtM、MtFの比率がわかり、きわめて貴重である。

その率を各年ごとの戸籍性別変更数に当てはめて、年ごとのFtM、MtFの人数を推測してみた(2004年は2005年の比率を適用)

【データ】
「はりまメンタルクリニック」における年別の戸籍変更診断書数

年   FtM MtF  比率
2004                97( 26: 71)
2005   09   24  1:2.67  229( 62:167)
2006   15   28  1:1.87  247( 86:161) 
2007   29   14  2.07:1  268(181: 87)
2008   70   36  1.94:1  422(278:144)
2009   57   23  2.48:1  448(319:129)
2010   85   26  3.27:1  527(404:123)
2011   81   33  2.45:1  609(432:177)
2012  109   32  3.40:1  737(569:168)
2013  127   20  6.35:1  769(664:105)
2014  102   30  3.40:1  813(628:185)
2015  126   37  3.41:1  855(661:194)
2016  134   36  3.78:1  885(700:185)
計   934   339   2.76:1 6906(5010:1796)
FtM、MtF合計 1273(18.4%)

【考察】
(1)2004年7月の「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」実施以来、2016年末までの戸籍性別変更数は、女性から男性へ(FtM)が5010人、男性から女性へ(MtF)が1796人、その比率は2.76:1と推測される。
およそFtM5000人、MtF1800人と考えればよさそうだ。

(2)日本におけるMtFとFtMの比率は、戸籍性別変更数の内訳(推定)でみると、2006年まではMtF2:FtM1だったのが、2007年に一気に逆転してMtF1:FtM2になり、2010年以降はMtF1:FtM3~4で推移している。
2007年頃にいったい何が起こったのか?
理由として、FtMを対象とした「性器形状近似要件」の実質的な緩和が考えられる。
つまり、ペニス形成手術をしなくても(男性ホルモンで肥大したクリトリスをマイクロペニスに見立てる)、子宮・卵巣の摘出のみで戸籍の性別変更を可能にした判断が、FtMの戸籍変更数の急増をもたらしたと推測される。

(3)FtMの比率の増加現象は、2010年代に入って、いくつかの国で起こっているようだが、日本では2007年頃に始まり、世界的に見て最も早く、かつ顕著に増加していると思われる。

(4)戸籍の性別変更をしたMtFの実人数は長期的に見るとほとんど同じレベルで推移していて、大きな増減はない。実数が急増しているのはFtMだけで、きわめて非対称。