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戦後・男性同性愛頒布誌の整理 [性社会史研究(性風俗雑誌)]

6月22日(月)

戦後の男性同性愛は、私の研究領域ではないし、まして私家版・少部数の頒布誌となると、知識も乏しいのだが、必要があってちょっと整理。

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戦後・男性同性愛 頒布誌の整理

1 『ADONIS(アドニス)』(1952~62年)
「日本最初のゲイ親睦機関」である「アドニス会」の機関誌。
創刊号(1952年9月10日)~63号で廃刊(1962年)。ガリ版刷、A5版、40~64頁。
創会当時の発起人メンバーは、岩倉具栄、原比露志、伏見冲敬、上月竜之介ら。
創立に告知は高橋鐵主宰の『人間探究』(第一出版社)でなされた。
初代編集長は『人間探究』の編集者だった上月竜之介。
二代目編集長(15号以降)は田中貞夫(推理・幻想小説家中井英夫の同棲相手)。
1962年に警察の手入れが入り、廃刊。
他に別冊小説『アポロンの末裔』(1954年、著者は菱川伸=塚本邦雄)、「会員紹介総覧」(1960年)がある。
【参照】伏見憲明「アドニス探究」(『彷書月刊』2006年3月号)
ADONIS(2).jpg
ADONIS7号.jpgADONIS63号.jpg

1-2「MEMOIRE(メモワール)」(1953~61年)
「アドニス会」会員による手記集。
1号(1953年)~8号(1961年)。ガリ版刷、B6版、60~98頁。
MEMOIER(2).jpg

2 『羅信』(1950年代後半?)
「花卉(かき)研究会(FKK)」の機関誌。
「花卉研究会」は、『風俗科学』編集長西條道夫が発起した男性同性愛に興味をもつ人々の友好団体「風俗科学研究会(FKK)=特異風俗研究会」のカモフラージュ名称と思われる。
編集は、『風俗科学』などに男性同性愛小説などを執筆していた扇屋亜夫。
17号と19号が確認できるが、刊記がなく、詳細な年代は不明。1950年代後半の発行か?
ガリ版刷、A5版、64頁。
誌名の『羅信』は「裸身(らしん)」のことだろうか?
(みそかごとさんから「『羅信』=魔羅通信の略ではないか」とのご教示をいただいた。その方が可能性が高いように思う)
羅信 (2).jpg

3 『MAN』(1954~57年)
1950年代に風俗雑誌に男性同性愛関係の記事を数多く執筆した鹿火屋一彦(かびや かずひこ)邸や近隣の中野哲学堂で開催されていた研究会「龍陽クラブ(青芦俳句会)」の機関誌。
鹿火屋一彦の編集。ガリ版刷、A5版、20~50頁。
1954~1957年に1~13号が刊行されている。
MAN(2).jpg

4 『同性』→『同好』(1960~64年)
大阪拠点の会員制の男性同性愛誌。
会員数千人を誇り、東の『アドニス』、西の『同好』と並び称された。
1960年創刊、1~3号は『同性』、4号(1960年)から「同好」と改称。
「創立7周年を迎えて」(毛利晴一)を載せる79・80合併号(1966)まで確認できる。
ガリ版刷り、A5版、48~100頁。
編集・発行は、大阪の男性同性愛世界の顔役的存在だった毛利晴一。
同性→同好(2).jpg
同好14.jpg
IMG_5795(2).jpg
↑ 『同好』71・72号(1966年)鹿野由行氏所蔵

5 『清心』(1968年?~73年)
大阪拠点の「同好趣味の会」の機関誌。
毛利晴一の編集・発行の『同好』の後継誌。A5版、70~120頁。
19号に「創立13年特集号」とあり、1973年まで刊行されたと思われる。
清心(2).jpg
IMG_5793(2).jpg
↑ 『清心』7号(11周年特集号、1971年)鹿野由行氏所蔵

6 『楽園』(1962年~?)
切手収集趣味の「ゆうびん社」横浜局の刊行の会員制の男性同性愛誌。
1962年秋に「サンプル版」が出ている。ガリ版刷り、A5版、52頁。

7 『薔薇』(1964~67年)
会員制の男性同性愛者集団「薔薇の会」の機関誌。
編集・発行は『風俗奇譚』(文献資料刊行会)編集長の高倉一の編集・発行。
ガリ版刷り、A5版、58頁。
執筆陣に間宮浩、かびやかずひこ、山口淳ら、イラストは宗方快也、船山三四ら。
1964年7月創刊号、43号(1967年)で終刊。
薔薇(2).jpg

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このまとめのデータと画像は、『股旅堂古書目録』6号(2012年12月)「(巻頭特集)日本ゲイ文化の黎明期」にほとんど依っている。
一古書店の目録が、これほど高い資料性・学術性を持つことは、すばらしいことである。
古典籍・古文書の世界では、かって反町茂雄氏の『弘文荘待買目録』(1933~84年)が高い資料性で知られていたが、性欲研究の世界における『股旅堂古書目録』のポジションは、それに近づきつつあるように思う。

2016年12月4日 加筆訂正

『奇抜雑誌』の書誌調査(暫定版) [性社会史研究(性風俗雑誌)]

6月18日(木)
戦後の性風俗雑誌『奇抜雑誌』を2冊入手したので、書誌を調べてみた。
『奇抜雑誌』(194905) (2).jpg
↑ 『奇抜雑誌』創刊号(1949年5月) 
『奇抜雑誌』涼風号(195109)2.jpg
↑ 『奇抜雑誌』涼風号(1950年9月)

市場に残っている品は多くなく、なかなか難しい。
今、わかっていることを暫定的にまとめておく。

出版時期は、1949年5月の創刊で、今のところ確認できるのは、1951年7月が最終。
約2年ちょっとの寿命だったようだ。
広い意味での「カストリ雑誌」に入ると思うが、その中では後期のものという位置づけになる。

毎号(創刊号は除く)、漢字2文字で「〇〇号」と名付けているのが特徴的。

【お願い】情報、お持ちの方、ご教示ください。
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『奇抜雑誌』の書誌

(創刊号:1949年5月)
発行所:創文社(東京都渋谷区代々木上原1237)
編輯兼発行人:柳 研太
判型:B5版

(涼風号:1950年9月)
発行所:創文社(東京都港区芝新橋5-2)
編集人:高野よしてる
発行人:秩父甚次郎
判型:B5版

(創刊号)      1949年5月  48頁  45円  所蔵
紫苑号        1949年6月  48頁
青春号        1949年7月  48頁
情熱号        1949年8月
愛情号        1949年9月  48頁
抱擁号        1949年10月
陶酔号        1949年?   ←11,12月のいずれか
??号        1950年2月  56頁
爛漫号        1950年3月  92頁
明朗号        1950年4月
薫風号        1950年5月?
爽快号(2巻6号)  1950年6月  96頁
熱愛号(2巻7号)  1950年7月
青春号(2巻8号)  1950年8月  96頁
涼風号(2巻9号)  1950年9月  96頁 B5版 65円  所蔵
共楽号(2巻11号)   1950年11月 
艶満号         1950年?月 ←1、10,12月のいずれか 
求愛号(3巻3号)  1951年3月  96頁 
魅惑号(3巻4号)  1951年4月
明朗号        1951年5月  ← 名称ダブり?
???        1951年7月

『奇抜雑誌』紫苑号(194906).jpg
↑ 『奇抜雑誌』紫苑号(1949年6月)
『奇抜雑誌』共楽号(194911).jpg
↑ 『奇抜雑誌』共楽号(1949年11月)
『奇抜雑誌』明朗号(195004).jpg
↑ 『奇抜雑誌』(明朗号1950年4月)
『奇抜雑誌』薫風号(195005?).jpg
↑ 『奇抜雑誌』(薫風号1950年5月?)
『奇抜雑誌』熱愛号(195007).jpg
↑ 『奇抜雑誌』熱愛号(1950年7月)
『奇抜雑誌』魅惑号(195104).jpg
↑ 『奇抜雑誌』魅惑号(1951年4月).

『風俗科学』掲載の同性愛、女装・男装関係記事(加筆・再掲) [性社会史研究(性風俗雑誌)]

『風俗科学』掲載の同性愛、女装・男装関係記事

1953年(昭和28)8月に創刊された1955年3月まで刊行されたと推定される性風俗雑誌『 風俗科学』の全19冊(推定)の収集が完了したので、ようやく、同誌掲載の同性愛、女装・男装関係記事のリストを完成することができた。
将来的には、全記事目録を作成するつもりだが、とりあえずということで・・・。

◎ 昭和28年(1953)8月号(1巻1号)
特集「男色時代-今や男色は全国を風靡している-」
「ドイツを震撼させた男色裁判」(森 藤一郎)
「かくて男色は流行する」(柏倉幸蔵)
「男色閑談」(宮園三四郎)
「(小説)男色閨怨」(遠藤松喜)

◎ 昭和28年(1953)10月号
「フランスに於ける二形(ふたなり)事件-男女両性の神秘-」(都築武次郎)
「男色者とその性的特質ー前月号の柏倉氏所論に駁すー」(扇屋亜夫)
「美少年録」(神原貞二)
「蔭間茶屋考」(草刈透一)

◎ 昭和28年(1953)11月号(1巻3号)
「男色輪廻-男色者の悩み-」(扇屋亜夫)

◎ 昭和28年(1953)12月号(1巻4号)
「欧米に於ける男色の流行」(瀬沼整一郎)
「同性愛の史上人物」(土井耕作)
「男色クラブ探訪記」(河野光治)
「(小説)男色遍路」(扇屋亜夫)
「女になった男の手記-乳房がなくとも性愛は満点-」(六七木八枝)

◎ 昭和29年(1954)1月号(2巻1号)
特集「ソドミイの頁」
「(グラビア)ソドミアの生態アルバム」
「元禄野郎考」(上原俊郎)
「ソドミイの五つの変型」(かびや・かずひこ)
「(小説)ソドミイの淵」(河野光治)
「(小説)肉体への反逆」(扇屋亜夫)
「同性愛に悩む友へ」(坂田春人)
「東京におけるソドミアの実態調査報告」(高畑益朗)

「半男半女の実相」(藤原隆三)
「女性の同性愛」(仁科順三)

◎ 昭和29年(1954)2月号(2巻2号)
特集「女性の異常性風俗」
「レスビアニズム雑考」(宮川好子)
特集「ソドミアの生態」
「アメリカの同性愛ブーム」(ウヰリアム・マクナイン)
「芸能人の同性愛をさぐる」(大野木俊)
「そどみあは貴方の隣にいる!」(扇屋亜夫)
「戒律と肉体とー僧院の蔭に咲く男色秘話ー」(河野光治)
「(対談)同性愛と男根羨望について」(比企雄三・扇屋亜夫)

「そどみあ通信」
「(小説)レスポス騒動(『情園』完結編)」(武野藤介)

◎ 昭和29年(1954)3月号(2巻3号)
特集「同性愛の花」
「お姉さまの鞭の下」(鳴嶋八重子)
「そどみあは貴方の隣にいる!(2)」(古田春夫)
「男の肌ぞ美しき-女装マニアの手紙-」(扇屋亜夫)
「憎しみは泡沫の如く」(秩父甚次郎)
「(小説)鶏色する花々」(かびや・かずひこ)
「そどみあ通信」
「『風俗科学研究会』(F・K・K)のお便り」(西條道夫)

◎ 昭和29年(1954)4月号(2巻4号)
特集「あぶの手記集」
「れすぼすの記」(宮内由美)
特集「そどみやの国」
「そどみやの世界」(読者)
「十代の少年同性愛」(鹿火屋一彦)
「(小説)白い色の情慾(かなしみ)」(扇屋亜夫)

◎ 昭和29年(1954)5月号(2巻5号)
特集「そどみあの花園」
「みにや・からば」(並木三策)
「わが男色履歴書」(木内義則ほか)
「ある男色者」(青木十郎)
「男色に代用された女性群」(橋本徹也)
「(小説)素朴なる活火山」(扇屋亜夫)

◎ 昭和29年(1954)6月号
「同性愛と性の転換-ホモ医学(1)-」(太田典礼)
「ドイツの美少年カフェ」(刈谷 健)
「ホモの花束(1)―同性愛の百科事典(1)―」(かびや・かずひこ)
「(小説)ママという男」(南条哲夫)
「(小説)紅いベレエ」(扇屋亜夫)
「そどみやの花園」(ON生ほか)
「女性のパトロンを求める女」(長谷川しづ子)
「性風俗解剖室・男装マニヤ」

◎ 昭和29年(1954)7月号(2巻7号)
「戦後の男色同性愛」(上村八郎)
「性医学の部屋:性の転換を願う人―男から女へ肉体手術は流行する―」(太田典礼)
「わが半生の記」(永井明子)
「ホモの花束(2)-同性愛の百科辞典-」(かびや・かずひこ)
「そどみあの花園」(ON生ほか)
「(小説)そどみあは行く」(扇屋亜夫)
「(小説)友愛讃歌」(東 栄一)

◎ 昭和29年(1954)8月号(2巻8号)
「ホモの花束(3)-同性愛の百科事典-」(かびや・かずひこ)
「(小説)薔薇盗人-そどみあは行く・その2-」(扇屋亜夫)

◎ 昭和29年(1954)9月号(2巻9号)
「女性の同性愛について」(OR生)
「最近に於ける同性愛の動向-調査第一回中間報告-」(太田典礼)
「F・K・Kだより―風俗科学研究会のことども―」(扇屋亜夫)
「男娼学校の生態」
「アメリカに於ける同性愛」(青山悠一郎)
「ホモの花束(4)-同性愛の百科事典-」(かびや・かずひこ)
「(小説)磐梯のホルムス-そどみあは行く・その3-」(扇屋亜夫)
「江戸でかめろん」(南条哲夫)

◎ 昭和29年(1954)10月号(2巻10号)
「男色に関する十二章」(西条道夫)
「変態売笑罷り通る」(内田俊之)
「(小説)偽れる肢体-ある男体秘密記-」(宮原弓夫)
「あるソドミアの落書」(露地志野)
「(小説)彷徨える出発-そどみあは行く・その4-」(扇屋亜夫)

◎ 昭和29年(1954)11月号(2巻11号)
「話題になった性の転向者たち」(江上文平)
「(小説)ヘラクレースへの幻想」(東 栄一)
「花弟」(卯野四緑)
「太鼓腹への妄執」(須渾 朔)
「同性愛の親睦クラブ御案内」
「(小説)ひと夜の情熱-そどみあは行く・その5-」(扇屋亜夫)

◎ 昭和29年(1954)12月号(2巻12号)
「女性の同性愛が欲しい」(東京 あざみ子)
「(小説)蛇装の淫楽」(久我春之助)
「FKKのお便り」
「ホモの会の記録―FKK秋季大会記―」(西條生)
「(小説)雁来紅の家-そどみあは行く・その6-」(扇屋亜夫)

◎ 昭和30年(1955)1月号(3巻1号)
「男子禁制の悶えー異常風俗の解剖ー」(上田成年)
「女装マニアの手紙」(N・N生)
「(小説)港の見える丘-そどみあは行く・その7-」(扇屋亜夫)
「同性愛親睦クラブへの御招待」(扇屋亜夫)

◎ 昭和30年(1955)2月号(3巻2号)
「ホモの殿堂『少女歌劇』の世界」(古川映介)
「男色喫茶店・酒場の東京地図ーそどみあご案内ー」(XYZ)
「(小説)偽りの季節ーそどみや小説ー」(児玉茂樹)
「私のページ」(扇屋亜夫)
「ホモの頁」

◎ 昭和30年(1955)3月号(3巻3号)
「理想的な男娼はこうして造られる!」(青島千秋)
「新東京男色団」(川合十郎)
「私は女装の麗人ですーある女装マニヤの手記ー」(椎名敏江)
「(座談会)女性のホモ罷り通る」(扇谷亜夫・上島つぎ・三輪洋子・河上聖子・西條道夫:司会)
「男色の性典」(みね・はるさわ)
「(小説)無頼漢と美少年」(美山玻璃子)

※ 2010年11月26日初稿、2011年2月20日・6月16日・22日、2015年5月23日資料追加・改訂

なお、『風俗科学』の書誌については下記を参照ください。
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-2

『風俗科学』の書誌 -戦後性風俗雑誌の研究:その2-(加筆・再掲) [性社会史研究(性風俗雑誌)]

5月23日(土)

『風俗科学』の書誌 -戦後性風俗雑誌の研究:その2-

『風俗科学』は、前回、書誌をまとめた『風俗草紙』に遅れること、わずか1カ月の1953(昭和28)8月に創刊された。

『人間探究』、『風俗草紙』、『あまとりあ』などと並ぶ1950年代の性風俗文化雑誌の代表的なものだが、「科学」という書名の通り「特異風俗の研究誌」にこだわっている点に特色がある。
また「そどみあ」研究・交流にも力を入れており、1950年代の男性同性愛世界の研究資料としても価値が高い。

『風俗草紙』より少し長く、1955年(昭和30)3月くらいまで刊行されたようだが、『風俗草紙』と同様に、詳しい書誌はわかっていない。

おそらく全19冊と思われたが、残り数冊まできてなかなか収集が止まってしまった。
2015年5月にようやく5年がかりで全19冊を完収できたので、現在まで整理できた書誌をアップしておく。
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【書名】 『風俗科学』(ふうぞくかがく)

【刊行時期】 1953年(昭和28)8月~1955年(昭和30)3月?
      全19冊?

【出版社】 第三文庫(東京都千代田区神田小川町2-10)

【編集人・発行人】
 (編集兼発行人)西條道夫 (1953年8月号~1954年4月号)
 (編集兼発行人)町田伸五 (1954年5月号)
 (編集人)手塚正夫 (発行人)町田伸五(1954年6月号~10月号?)
 (編集人)西條道夫 (発行人)町田伸五(1954年11月号?~1955年3月号?)

【版型】 A5版。

【内容】
「特異風俗」の研究を目的とした性風俗文化雑誌。
創刊号で「真面目な真剣な研究者や愛好家の集いとして、健全に育てたい」と編集人の西條道夫が言っているように、性科学・性風俗の研究雑誌の体裁を取った。
したがって、内容も論考やレポートが中心で、小説などのフィクションは少ない。
また、創刊号で編集人の西條道夫が「ソドミア研究家のために、特別に頁を設け、お便宜を計りたいと思います」と述べているように、ソドミア(男性同性愛)研究・交流に力を入れていた。

【主な寄稿者】
扇屋亜夫(文筆家・ソドミア研究家)、太田典礼(医師・性科学研究家)、鹿火屋一彦(文筆家・ソドミア研究家)、秩父甚次郎(『奇抜雑誌』発行人)、中野栄三(性風俗・性文学研究家)、南条哲夫(文筆家)、比企雄三(性科学研究家)など

【特異風俗研究会・風俗科学研究会(FKK))】
『風俗科学』編集長西條道夫が発起した男性同性愛に興味をもつ人々の友好団体。
1953年8月の『風俗科学』創刊号に「武野藤介先生にお願いして、着々準備を進めて居り」とあり、雑誌刊行時から企画されていた。

『風俗科学』1953年10月号に「『風俗科学研究会』のお知らせ」が載り、「風俗科学研究会」の名称で、この頃、発会したものと思われる。
会の性格については「そどみあ愛好者だけの会とすること」と規定され、実質的には男性同性愛の愛好者の親睦団体だった。
具体的には、『風俗科学』編集室を通して資料や意見の交換を行う。
100円の入会費と『風俗科学』3か月(後に4か月)の契約で入会可能。
会員名簿も発行されるが、実名ではなく、会員同士の手紙のやりとりは『風俗科学』編集室を通す。
ただし、親しくなった会員同士は直接手紙のやりとり、または会合は可能。
事務局は、第三文庫に置かれた。
会員は最盛期で500人以上?(1954年11月号の編集後記)。

【刊行期間と巻号について】
* 1954年8月号(1巻1号)と10月号(2巻2号)の間が飛んでいる(9月号は不発行)。
* 1955年3月号(通巻19号?)以降は実物はもとより、存在した形跡もまったく確認できない。
 これが最終号と思われる。

【各冊データ】
1-1 『風俗科学』1953年8月号    180頁 定価100円
1-2 『風俗科学』1953年10月号    180頁 定価100円
1-3 『風俗科学』1953年11月号    180頁 定価100円
1-4 『風俗科学』1953年12月号    180頁 定価100円  
2-1 『風俗科学』1954年1月号    180頁 定価100円
2-2 『風俗科学』1954年2月号    180頁 定価100円
2-3 『風俗科学』1954年3月号    180頁 定価100円
2-4 『風俗科学』1954年4月号    180頁 定価100円
2-5 『風俗科学』1954年5月号    180頁 定価100円
2-6 『風俗科学』1954年6月号    180頁 定価100円
2-7 『風俗科学』1954年7月号    192頁 定価100円
2-8 『風俗科学』1954年8月号    184頁 定価100円
2-9 『風俗科学』1954年9月号    200頁 定価100円
2-10 『風俗科学』1954年10月号    200頁 定価100円
2-11 『風俗科学』1954年11月号    196頁 定価100円
2-12 『風俗科学』1954年12月号    196頁 定価100円
3-1 『風俗科学』1955年1月号    196頁 定価100円
3-2 『風俗科学』1955年2月号    196頁 定価100円
3-3 『風俗科学』1955年3月号    228頁 定価100円

【表紙画像集(全19冊)】 (すべて所蔵)
風俗科学1953-8.JPG
↑ ◎『風俗科学』1953年8月号(創刊号)
風俗科学1953-10.JPG
↑ ◎『風俗科学』1953年10月号
風俗科学1953-11.JPG
↑ ◎『風俗科学』1953年11月号
風俗科学1953-12.jpg
↑ ◎『風俗科学』1953年12月号
風俗科学1954-1.JPG
↑ ◎『風俗科学』1954年1月号
風俗科学1954-2.JPG
↑ ◎『風俗科学』1954年2月号
風俗科学1954-3.JPG
↑ ◎『風俗科学』1954年3月号
風俗科学1954-4.JPG
↑ ◎『風俗科学』1954年4月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年5月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年6月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年7月号
風俗科学1954-8.JPG
↑ ◎『風俗科学』1954年8月号
風俗科学1954-9.JPG
↑ ◎『風俗科学』1954年9月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年10月号
風俗科学1954-11.JPG
↑ ◎『風俗科学』1954年11月号
風俗科学1954-12.JPG
↑ ◎『風俗科学』1954年12月号
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↑ ◎『風俗科学』1955年1月号
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↑ ◎『風俗科学』1955年2月号
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↑ ◎『風俗科学』1955年3月号

(註)2015年5月、19冊完全収集。書誌記載など、加筆・部分訂正。

『風俗科学』全19冊?完全収集へ [性社会史研究(性風俗雑誌)]

5月8日(金)

もう5年くらい集めている、1950年代の性風俗雑誌『風俗科学』(1953年8月号~1955年3月号?)、全19冊?の内あと3冊が未収集だった。

その内、2冊の注文を先日横浜の古書店に出した。
風俗科学195405.jpg
↑ 『風俗科学』1954年5月号
風俗科学195501.jpg
↑ 『風俗科学』1955年1月号

そして、今夜の最後の1冊を、ネット古書店で見つけて、さっき注文を出した。
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↑ 『風俗科学』1955年2月号

順調に行けば、数日後にやっと完全収集?が実現する。
まあ、1955年3月号が最終号という私の推定が当たっていればなのだが。
これで、掲載記事の総目録が作れそう。

ちなみに『風俗科学』全19冊を収蔵・公開している図書館・文庫はないと思う。
国会図書館や都立中央図書館はもちろん、大宅壮一文庫や飯田橋の「風俗資料館」にも全部はない。

1950年代の性風俗雑誌は、基本的な書誌すら正確に判明していないものが多い。
手間と時間とお金をかけて集めて、情報を整理して、書誌を明らかにして、次の世代の人に受け渡すしかない。

【追記(5月23日)】
揃った!
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1966年の『実話と手記』(手帖社) [性社会史研究(性風俗雑誌)]

5月28日(水)
月1度の吉祥寺での仕事の帰りに、南口駅前通りの古書店で安かった(1冊500円)ので2冊購入。
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『実話と手記』昭和41年(1966)12月号(2巻14号)
発行所は「東京都中央区日本橋1-4」の「手帖社」で、A5版192頁、定価200円。
巻次からして、月刊でときどき増刊号が出たようだ。
昭和40年9月に「国鉄東局特別扱承認」をとっているので、昭和40年(1965)秋の創刊か。

内容は、この時期の「実話系雑誌」の例にもれず、性風俗のルポルタージュ(風)記事がほとんど。
ただ、この号に限ってかもしれないが、他誌に比べて、外国関係の記事が多い印象。

私にとっての収穫は、良川新介「外人にモテ 日本のゲイ・ボーイ」という記事(詳細別記)。
(参照)「ゲイ・ボーイの海外進出―1960年代の性風俗記事から(1)―」 
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2014-05-28-2
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『実話と手記』1966-1増刊.JPG
『実話と手記』昭和41年(1966)1月臨時増刊号(2巻2号)
「観光おんな読本」と題する増刊号。
「観光マンモス東京よるの異色地帯マル秘情報」という特集記事では、「ゴールデン赤坂のデラックスお遊び術」、「青い目の美女をとりもつ赤坂“夜の演出者”」という題名で、東京の新興歓楽街である「赤坂」に焦点を当てていて興味深い(詳細別記)。
(参照)「盛り場としての赤坂の全盛期―1960年代の性風俗記事から(2)―」 
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2014-05-28-3

もう1つの注目記事は、「"男子禁制"大阪のレズビアン・バー潜入記」と題する大阪道頓堀の「」というレズビアンバーのルポ。
情報がいたって乏しい1960年代のレズビアン業界の一端がうかがえる(詳細別記予定)。

『怪奇夜話』特別増刊号(昭和29年6月)と『愛情生活』昭和27年12月号 [性社会史研究(性風俗雑誌)]

4月28日(月)
月1度の吉祥寺での仕事の帰りに、南口駅前通りの古書店に寄る。
「怪しい雑誌」(戦後期の性風俗雑誌)の在庫が豊富な店なのだが、この半年ほど目ぼしいものがなかった。
今日は新規大量入荷があったらしく、見たことがない雑誌がたくさんあった。
透明な袋に入っていて中身を見られない状態で買わなければならない。
その中から2冊を選んで購入。
長年培った勘だけを頼りに選ぶので、内容に当たり外れがあるのだが、今日は2冊とも大当たり!
大収穫でうれしいな。
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『怪奇夜話』特別増刊号 昭和29年(1954)6月
『怪奇夜話』1949‐6(3).jpg
発行所は「東京都台東区仲御徒町四丁目」の「自由出版社」で、B6版256頁、定価85円。
裏表紙に「毎月一回発行」とあるが、奥付はなく、巻次や通巻の表示もない。

内容は、例によってエロ・グロのごった煮状態だが、私にとっては、下記の2つが大収穫。
亀田金助「(猟奇探訪)新宿売笑地図―時間によって異なる売春地帯―」
小暮雁二「(怪奇変態)男娼でかめろん―女でも男でもない男―」
どちらも、論文の資料として使えそう。
他にも、面白そうな記事が2つ。
赤坂 慧「(性愛小説)二人の男に惚れられた男娼」
高沢与志六「(猟奇報告)売春婦の検黴見学記」
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『愛情生活』 昭和27年(1952)12月号
『愛情生活』1947-12(3).jpg
発行所は「東京都新宿区四谷二丁目三番地」の「明星閣」(編集人:牛丸敏彌、発行人:宗形金造)で、B6版314頁、定価98円。
巻次は第2巻13号で、月刊誌らしい。

「半処女(セミ・バージン)を打診する」という特集にひかれて買ったのだが、
「客引き合戦てんやわんや探訪記-赤線区域・青線区域・東京売春風景ー」という記事が拾いものだった。
これも、今書いている論文に引用できる。
ちなみに「半処女」とは、「男たちと遊び(自由恋愛)はするが、決して肉体は許さない」女性のこと。
現在ではまったく死語になっているが、1930年代から50年代にかけて、小説などでもけっこう使われた。
(参照)光石亜由美「半処女」(『性の用語集』講談社現代新書 2004年)


『夜の東京―大東京の裏面観察―』の書誌調査 [性社会史研究(性風俗雑誌)]

1月28日(火)
『夜の東京』は、誌名の副題が「大東京の裏面観察」であるように、関東大震災(大正12年=1923)の大被害から再生し、「エロ・グロ」ブームに湧く「帝都大東京」の性風俗紹介をテーマにした雑誌である。
発行は月刊で、発行所は「東京市四谷区内藤町1番地」の「夜の東京社」、B5版36頁(表紙含む)が標準だった。

創刊号は未確認だが、大正15年(1926)10月1日発行の2巻10号が「一周年記念号」であることから、大正14年(1925)10月である可能性が高い。
終刊の時期も不明だが、昭和6年(1931)8月発行の7巻7号が確認されている。

現在、判っている範囲で、大正15年7月1日発行号(2巻7号)、昭和2年6月発行の3巻6号、昭和3年6月発行の4巻6号、昭和6年6月発行の7巻6号が「発売禁止」処分を受けたと思われる。

定価は当初は(特別号を除き)10銭で、3巻3号(昭和2年3月号)から20銭になる。
昭和2年前後の物価は、封書3銭、銭湯5銭、市電7銭、そば8銭、映画30銭、うな重50銭、天丼60銭、小学校教諭初任給50円、国家公務員(高等文官試験合格)初任給75円だから、現在の物価に換算すると、だいたい4000~5000倍くらいだろうか。
すると、10銭は400~800円、20銭は800~1000円くらいの見当になる。
薄手の雑誌の割には安くない。
価格に加えて、また、文章や漢字、そして外来語の多用からして、読者層は一般庶民ではなく、都市中産階層より上のインテリ男性と思われる。

大都市の性風俗をテーマにした雑誌というと、戦後の混乱期に乱発された「カストリ雑誌」を思い浮かべるが、すでに昭和初期に、もっとしっかりした形で性風俗をテーマにした雑誌が刊行されていたわけで、その資料的価値は高い。
しかし、『夜の東京』は国会図書館にも、大宅壮一文庫にも所蔵されていなく、おそらく、まとめて所蔵している図書館はないのではないと思われる。
(私は1冊だけ所蔵)
したがって、書誌も明らかではなく、内容も紹介されていない。

今回、某先生の書庫に所蔵されている『夜の東京』18冊を見せていただき、表紙と目次を撮影し基礎的な書誌調査を行った。
短時間で大急ぎで撮影したため、写真は良くないが、記録のために掲げておく。

【追記・お願い】
『夜の東京』は、少なくとも70冊ほどが刊行されたと思われるが、現在、私が知っているのは19冊に過ぎなません。
もし、他に所蔵されている方がいらしゃいましたら、表紙と目次の画像を提供していただけたら、たいへんうれしく思います。
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大正15年(1926)
6月1日発行  10銭
7月1日発行  10銭
7月20日発行 「発売禁止改訂版」 10銭
『夜の東京』2-7訂 (2).jpg
9月1日発行 (2巻9号)  10銭
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10月1日発行 (2巻10号) 「一周年記念特別号」 特価20銭
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12月1日発行 (2巻12号) 10銭
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大正16年=昭和2年(1927)
1月1日発行 (3巻1号) 新年号特価20銭
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2月1日発行 (3巻2号) 10銭
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3月1日発行 (3巻3号) 20銭(値上げ)
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6月1日発行 (3巻6号) 20銭
『夜の東京』3-6 (2).jpg
7月1日発行 (3巻7号) 「又々発売禁止早速七月号発行」 20銭
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11月1日発行 (3巻11号) 20銭  三橋順子所蔵
『夜の東京』3-11 (2).jpg
(参照)2012年05月14日 『夜の東京』昭和2年11月号
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-20-3
昭和3年(1928)
6月1日発行 (4巻7号) 「前月号発売禁止」 20銭
『夜の東京』4-7 (2).jpg
11月1日発行 (4巻13号) 20銭
『夜の東京』4-13 (2).jpg
昭和4年(1929)
1月1日発行 (5巻1号) 20銭
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昭和5年(1930)
1月1日発行 (6巻1号) 20銭
『夜の東京』6-1  (2).JPG
2月1日発行 (6巻2号) 20銭
『夜の東京』6-2 (2).jpg
昭和6年(1931)
1月1日発行 (7巻1号) 「帝展裸婦満載」 20銭 表紙に「七巻十一号」とするが誤植か?
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8月1日発行 (7巻7号) 「前号発売禁止 深謝」 20銭
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『風俗クラブ』の書誌 -戦後性風俗雑誌の研究:その4- [性社会史研究(性風俗雑誌)]

1月26日(土) 
 『風俗クラブ』の書誌 -戦後性風俗雑誌の研究:その4-

1950年代前半(昭和20年代後半)に刊行された『風俗〇〇』という書名の総合性風俗雑誌としては、『風俗草紙』と『風俗科学』が双壁だった。

『風俗草紙』(日本特集出版社)は、1953年(昭和28)7月~1954年(昭和29)10月?に2冊の増刊号を入れて全14冊刊行された。
『風俗科学』(第三文庫)は、1953年(昭和28)8月~1955年(昭和30)3月?に全19冊?刊行されたと推定される。

【参照】
『風俗草紙』の書誌 ―戦後性風俗雑誌の研究:その1―
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19
『風俗科学』の書誌 -戦後性風俗雑誌の研究:その2-
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-2

ところが、もう一誌、同じ頃に『風俗〇〇』という書名の総合性風俗雑誌が刊行されていた。
それは、春光社(文京区湯島三組町)から刊行された『風俗クラブ』である。
表紙には「風俗と文化をむすぶ雑誌」と銘打たれているが、内容は「猟奇(サド・マゾ)」を中心に「アブ(男色、フェチ)」を加えたもので、『風俗草紙』と大差はない。
風俗クラブ2号.JPG
手元にあるのは、昭和29年(1954)5月1日発行の第1巻2号(1954年5月号)。
その編集後記に「本号は発行日遅延のため五月号とし、したがって四月号は休刊になりました」とあるので、昭和29年3月号が第1巻1号(創刊号)と推定される。
ネットで検索したところ、第1巻1号が昭和29年3月号であることが確認できた。

つまり、『風俗クラブ』は、『風俗草紙』より8か月、『風俗科学』よりも9カ月遅れて刊行された三番手の『風俗〇〇』だった。

しかし、現在のところ、第1巻1号と2号の2冊しか確認できていない。
おそらく3号雑誌に届いたか届かなかったか、いずれにしても、短命だった。
この業界、二匹目の泥鰌はいても、三匹目はいなかったようだ。
ということで、整理するほどのこともないのだが…。

【書名】 『風俗クラブ』(ふうぞくくらぶ)
【刊行時期】 1954年(昭和29)3月~1954年(昭和29)5月?
      全2冊?
【出版社】 春光社(文京区湯島三組町10)
【編集兼発行人】秋房酷
【版型】 A5版。表紙は原英夫。
【定価】100円(1巻2号)
【内容】
表紙に「風俗と文化をむすぶ雑誌」と銘打たれているが、内容は「猟奇(サド・マゾ)」を中心に「アブ(男色、フェチ)」を加えたもの。
【主な寄稿者】
角田澄夫、芳賀保、峯秀太郎、佐戸泉、丹阿弥春彦、葛飾八郎、茅野龍三郎、仙波健児、机吾老郎、南条繁夫、近藤恭、鮎川能里子、喜多玲子、木戸頼吉、中川常平、樫村貞司郎、城田大策、永龍一郎ほか
【備考】
第1巻第2号になるはずだった1954年(昭和29)4月号は発行日遅延のため休刊。
5月号が第1巻第2号となる。
風俗クラブ1号.jpg
『風俗クラブ』創刊号(1954年3月号、1巻1号)
(出典)http://www.smpedia.com/index.php?title=%E9%A2%A8%E4%BF%97%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96
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『風俗クラブ』の同性愛、女装・男装関係記事

1号が未調査なので、2号だけだが…、一応、リストアップ。

◎昭和29年(1954)3月創刊号(1巻1号)
内容不明

◎昭和29年(1954)5月号(1巻2号)
「男娼の異常生態調査」(本誌調査部)
「(そどみあ時代小説)修羅衆道」(城田大策)
「男色遍歴―あるソドミアの手記―」(近藤 恭)
「雌になる情鬼」(仙波健児)

『週刊特集実話NEWS』『週刊特報』の書誌と記事 [性社会史研究(性風俗雑誌)]

1月11日(金)
インターネット古書店「太陽野郎」さんから、1960年代初頭の「実話系雑誌」を3冊入手した。

『週刊特集実話NEWS』は、日本文華社から刊行された「実話系雑誌」。
今回入手したのは10号(1961年5月16日号)と32号(1961年12月28日号)。
この他、4号 (1961年2月23日号)、6号(1961年3月23日号)などの在庫があった。
こう並べてみると、すぐに気付くことなのだが、書名通りの「週刊」だとすると、号数が合わない。
4号が2月23日号で、6号が3月23日号だから、その間に1号しか出ていない。
換言すれば月2号ペース、つまり少なくとも発行当初は「隔週刊」だったと思われる。
「隔週刊」だとすると、6号(3月23日号)と10号(5月16日号)の間隔も説明がつく。

ところが、10号(5月16日号)と32号(12月28日号)の間隔は「隔週刊」だと合わない。
そこで、さらに在庫を見ると、13号(6月29日号)、26号(10月5日号)、29号(11月16日号)、37号(1962年3月8日号)があった。
26号と29号、29号と32号、32号と37号の間隔は「隔週刊」だとすると説明がつく。
しかし、13号(6月29日号)と26号(10月5日号)の間は「隔週刊」だとすると6号分なのに13号分も離れていて、まったく合わない。
この間に一時的に「週刊」になったのか? あるいは臨時増刊がたくさん(7号分)刊行されたのか?
もう少しデータがあったらいいのだが・・・。

ところで、『週刊特集実話NEWS』の創刊時期だが、昭和35年(1960)11月18日「第三種郵便認可」を取っているので、それ以降であることは確定的だ。
4号が1961年2月23日号なので、「隔週刊」を想定して遡ると、創刊号は1961年1月14日号になる。
『週刊特集実話NEWS』の創刊は、1961年1月と推定してよさそうだ。

(1)『週刊特集実話NEWS』10号(1961年5月16日号)
週刊特集実話NEWS10号(1961年5月16日号).JPG
注目は「怪しい魅力!美少年クラブの歪んだセックス」という記事。
サブ見出しは「可愛がられるコール・ボーイの生態と美少年を買う女達」。」
リードは「俺たちの時代は過ぎた、とタフガイ達を歎かせる美少年クラブやゲイ・バーが秘かなブームの波に乗っているが、歪んだ性倒錯の世界に生きる美少年達の金儲けと、その生態を探る異色読物」
第一次「ゲイブーム」だった1950年代後半のゲイ世界のルポはそれなりにあるが、ブームが過ぎた1960年代初頭のものは珍しいと思う。
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もうひとつ「現地ルポ 赤線偽装地帯を探る 博多名物観光売春」という記事も売春防止法完全施行(1958年3月)から3年後の実態をうかがう上で興味深い。

(2)『週刊特集実話NEWS』32号(1961年12月28日号)
週刊特集実話NEWS32号(1961年12月28日号).JPG
収穫は巻頭グラビアの「話題スナップ おとこからおんなになった性転換の妖艶ストリッパー」。
このグラビアは以前からコピーを所蔵していて、それを使ったコラムも書いているが、コピーの状態があまり良くなかった。
今回、オリジナルを入手できてうれしい。
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グラビア頁とは別に「舞台に賭ける性転換のストリッパー」という記事も載っている。
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これらの記事でメインに扱われている吉本一二三(ひふみ)は、徳島県小松島市の生まれで、1950年代に美貌の女装男娼・女装芸者として知られた人。
1959年頃、東京でに造膣手術を受け、1961年初冬に東京浅草の「ロック座」で性転換ストリップショーで大当たりをとった。
私の研究では、男性から女性への性転換手術として、吉本一二三の事例は日本でおそらく5番目。
【参照】
三橋順子「日本女装昔話 (7)最初の性転換ヌードダンサー - 吉本一二三と高橋京子 -」
http://www4.wisnet.ne.jp/~junko/junkoworld3_3_07.htm
三橋順子「性転換の社会史(1) -日本における「性転換」概念の形成とその実態、1950~60年代を中心に-」
(矢島正見編著『戦後日本女装・同性愛研究』 中央大学出版部 2006年3月)

このグラビアと記事は、後日、詳しく紹介しようと思っている。
(グラビア)http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2013-01-12
(記事)http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2013-01-23

(3)『週刊特報臨時増刊』No3(1962年4月)
『週刊特報』は新樹書房から刊行された「実話系雑誌」。
インターネット古書店「太陽野郎」の販売リストに『週刊特報』昭和36年2月22日創刊号があるので、1961年2月の創刊と確定できる。
3号が1961年3月22日号、4号が4月5日号)なので、『週刊特集実話NEWS』と同様に「週刊」と称しながら「隔週刊」だったと思われる。
週刊特報臨時増刊No3(1962年4月).JPG
今回入手したのは『週刊特報臨時増刊』No3(1962年4月12日号)。
29号が1962年3月22日号、31号が4月19日号であることが確認できるので、30号が4月5日号と推定され、「臨時増刊」3号は30号と31号の間に刊行されたと思われる。
もしかすると30号記念だったのかも。

注目は「ドヤ街の男娼部屋に監禁された男の悪夢の体験」という記事。
繊維会社勤務の34歳のサラリーマン(妻子有り)が、新橋田村町あたりで出会った「女」の部屋(深川・高橋のドヤ街)に連れ込まれる。
夜が明けて「女」が女装男娼であることに気づくが、「女」の深情けにほだされて、1週間も「居続け」する話。
記事名の「監禁」というのとは全然違い、情が深い「女」に大事にされて、「悪夢」どころかけっこう良い思いをして帰ってくるという話。
1950年代前半に新橋の田村町(現・西新橋交差点)あたり女装男娼が出没していたことは別の資料で知っていたが、深川の高橋(たかばし)に女装男娼ばかりが集まり住むアパート(文中では「埼玉屋旅館」)があったことは知らなかった。
高橋は大正期からスラム化した地域で、戦後も簡易宿泊街(ドヤ街)が形成された貧困地域。
現在は江東区高橋で、東京メトロ白川清澄駅から北へ小名木川に架かる高橋を渡った東側の地域。
ドヤはほとんど姿を消し、数軒のビジネスホテルに名残を残している。

もうひとつ、男性同性愛関係で「ゲイ・ボーイに金五十万円を脅し取られた黒い情事―男が男に狂ったあげく―」という記事が載っている。
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