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GID学会・第20回記念研究大会・講演の抄録 [お仕事(講義・講演)]

1月30日(火)

GID学会・第20回記念研究大会(3月24・25日:東京・御茶ノ水)の抄録の原稿(月末〆切)を事務局に送信。
研究報告じゃなく特別講演だし、これが(たぶん)最後になるので、言いたこと言えばいいわけで、1時間ほどで書いてしまった。

ちなみに演題は「GID学会20年の歩みをふりかえる―医療者でもなく、当事者でもなく―」。
抄録なので、ごくあっさりで、あまり毒は吐いていない。
20回GID学会-2.jpg
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「GID学会」第20回研究大会 特別講演(抄録)

GID学会20年の歩みをふりかえる
      ―医療者でもなく、当事者でもなく―

  明治大学文学部  三橋順子

「GID学会」第20回の記念大会、そして国際的な疾病リストから「性同一性障害」という病名が消え、性別移行を望むことの脱精神疾患化がようやく達成されるであろう画期的な年に、講演の機会をいただきましたこと、たいへん光栄に思います。

私は「医療者でもなく、当事者でもなく」という視点から、日本における「性同一性障害」医療の立ち上げ、そして「GID学会20年の歩み」を見てまいりました。いつの間にか、数少なくなった20回連続出席の1人として、過去を振り返ることで問題点を指摘し、未来を考えるお話をしたいと思います。

過去の問題点の第一は、「性同一性障害」医療の立ち上げに際して、既存の性別越境者のカテゴリーと円満な関係を築けなかったことです。

具体的に言えば、商業的トランスジェンダーであるニューハーフ、あるいは大都市の盛り場を拠点にした女装コミュニティと連携することなく、むしろそうした人々を排除することで「性同一性障害」医療が立ち上げられたことは、差別の再生産を生んだだけでなく、既存のコミュニティが長年にわたって蓄積してきた様々な性別越境のノウハウに学び、受け継ぐことを困難にしたという点で、大きな損失だったと思います。

問題点の第二は、性別越境をめぐる世界の動向にあまりにも無関心だったということです。1990年に同性愛の脱病理化が達成された後、欧米、そしてアジアのトランスジェンダー活動家は性別移行の脱病理化、少なくとも脱精神疾患化を目指しました。その動きは2010年代初頭のDSMの改訂、そして2010年代中頃~後半のICDの改訂をめぐる議論の中で高まっていき、今年5月採択予定のICD-11における脱精神疾患化に結実しようとしています。

ところが、日本では、その間、世界の趨勢と逆行し、性別移行の病理化が徹底的に進められ、世界的に見てきわめて特異な「性同一性障害大国」([コピーライト]Yuko Higashi)が現出してしまいました。疾患名である「性同一性障害」をアイデンティティとして名乗る「性同一性障害者」がこれほどたくさんいるのは日本だけです。

ICD-11で「性同一性障害」が消え、性別移行を望むことの脱精神疾患化が達成された後、日本の性別移行医療をどう再構築していくか、今後、数年間の喫緊の課題です。人権を踏まえた広い視野でトランスジェンダーの健康と福祉を増進するような医療システムができるだけ速やかに構築されることを願って止みません。


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コメント 1

純

「脱精神疾患化が達成された後、日本の性別移行医療をどう再構築していくか」まとめがとても良いですね。
仙台での先生との鼎談は、わたしの人生で少しだけキラキラとした非日常の体験でした。3/24(土)のGID学会、聴講しに行く予定です。楽しみにしています。
by (2018-03-11 18:56) 

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