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フレデリック・マルテル著『現地レポート 世界LGBT事情ー変わりつつある人権と文化の地政学ー』(メモ4) [現代の性(同性愛・L/G/B/T)]

12月5日(月)

フレデリック・マルテル著『現地レポート 世界LGBT事情ー変わりつつある人権と文化の地政学ー』(岩波書店 2016年11月)について、今まで批判的なコメントばかりしてきたが、敬虔なイスラム教国であるヨルダンの首都アンマンのゲイスポット(エピローグ)や、カストロ兄弟の圧政下で抑圧されるキューバのゲイ事情(第2章)など、取材者としての力量はすばらしいものがある。

キューバには5度も訪れ、1度は1カ月もの長期取材をしているほど、思い入れが深い。
亡命キューバ人や移民が多いフロリダ州マイアミのサウスビーチの描写もじつに詳しく精彩がある(第2章)。

言い方を換えれば、世界各地を取材する中で、マルテルが強い関心を抱いた国とそうでない国の落差がかなり大きいということ。

その関心を抱かなかった国の代表が日本というのは、とても残念だが、それがマルテルの問題関心なのだから、仕方がない。

ちょっと興味深い記述。
アメリカフロリダ州マイアミの新しいゲイ・コロニー、フォートローダーデイルには、「GLBフレンドリー」を掲げているとのこと。
LGBTの「T(Transgender)」を意図的に落している。
なるほどなぁ、Tの排除って、こういうことなのか・・・。


HIV感染者・発症者の「高止まり」 [現代の性(HIV・性病)]

12月5日(月)
HIV感染者・AIDS発症者(2015).jpg
確かに2015年は、新規の感染者も発症者も少し減っている。
でも、2007年以来。毎年14000~16000人もの人が感染し、400人以上の患者が出ている状況に変化はない。

憂慮すべき状態が一向に改善されずに「高止まり」していると見るべきだ。

前から言っていることだが、従来の予防啓発運動の手法の限界が現れていると思う。
もっと性行動の現場から変えていかないと、「高止まり」状態から脱出するのは難しいだろう。

12月4日(日)性別越境者と女性ホルモンの関係  [性社会史研究(性別越境・同性愛)]

12月4日(日) 曇り  東京  16.0度  湿度69%(15時)10時、起床。
朝食は、新丸子駅前「ブーランジュリー・メチエ」のカカオ・ド・クレームとコーヒー。
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冬の季節商品なので、久しぶり。

お昼は、長崎五島の手のべうどんで、鶏うどん。
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夕食は、豚肉の生姜焼き。
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長葱の醤油炒め。
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お風呂に入って温まる。

夜中、内分泌系の医学雑誌から依頼された原稿を書き始める。
「性別移行者の歴史と現在」というテーマだが、もう何度も書いているので、あまり書く気になれない。

で、性別越境者と女性ホルモンの関係をたどってみることにした。
と言っても、正規医療ではなくほとんどアンダーグラウンドな世界だから、先行論文皆無というか、まともな資料もない。
でも、こういう世界を知っている人もどんどん少なくなっていくし、自分が見聞きしたことを書き残しておく意味はあるだろうと思う。

書いていて、改めて危ない世界だったと思う。
女性ホルモンを自己注射していたり、ホルモン剤の原末(錠剤として製品化する以前の原料粉末)を製薬会社から持ち出して自分たちでカプセルに詰めて飲んでいたり・・・。

疲れた顔でカウンターに座ると、スタッフの1人が「あら元気ないわね、これでも飲んで元気つけなさい」と、ビタミン剤と女性ホルモン剤を出してくれる女装スナックもあった。
カウンターの上の棚に「彼女」専用の薬籠があり、かなりの量の薬剤がストックされていた。
実は「彼女」正規の資格の薬剤師。「当店では薬剤師の指導のもとにお薬を提供しています」という形だった。

店のお客さんには女装者やニューハーフが大好きなお医者さんもいる。そういう先生には「今度、お注射お願いしたいのですけど。プライベートで・・・」と色仕掛けでお願いする。
そうすると、喜んで注射器と自分のペニスの両方で「注射」してくれる。

明らかな薬事法、医師法違反の数々だが、もう、みんな時効だから、書いてもいいだろう。

まだ、インターネットが普及する以前だから、女性ホルモンについての正しい知識も普及していない。
単純にたくさん投与すれば、それだけ効くと信じている人が多かった。

当時(1990年代半ば)、新宿周辺には、簡単に女性ホルモンを注射してくれる医院が3軒あった。
西新宿の病院はプロのニューハーフ専用だったから、女装者は、新宿1丁目のH病院と、大久保のO病院のどちらかに行く。注射の頻度は1週間に1回が一般的だった。

ところが、ある女装者は、両方の病院を掛け持ちしていた。週1回×2だ。当然、オーバードーズ(過剰投与)で心身に悪影響が出る。土曜日の午後、女装喫茶店のカウンターにうつ伏している「彼女」の姿を思い出す。優秀なプログラマーだったが慢性的な倦怠感と精神の不安定化で仕事が続けられなくなり、やがて新宿の街から消えていった。

こうした女性ホルモンの濫用状態は、当然、いろいろなトラブルをもたらす。
身体の女性化による家庭崩壊や精神の不安定化による失業に止まらず、眼底血栓で危うく失明仕掛けたニューハーフ・パブのママ、心筋梗塞であの世に行きかけたベテラン女装者、いきなりの大量投与で薬物性の劇症肝炎を発症して死線をさまよった若手女装者etc.

幸いなことに自分の知人・友人では、乱用による本当の死人は出ていないが、比喩的にはまさに死屍累々なのだ。

就寝、5時半。