So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン
現代の性(性別越境・性別移行) ブログトップ
前の10件 | -

性別変更選手、東京五輪に出場へ [現代の性(性別越境・性別移行)]

7月21日(土)
朝日新聞20180721-2.jpg
↑ 『朝日新聞』2018年7月21日夕刊

IOC(国際オリンピック委員会)が2015年に「性別変更のガイドライン」を明確に定めているわけで、各競技団体はそれを順守するしかないと思う。

2020東京オリンピックだけ、あるいは特定の競技だけルールを変えるのは、むしろ不公正。

最大の問題は、日本の競技団体が、ほとんどまったくこの問題に対処していないこと。

現実的には、男性から女性に移行した選手の場合、IOCがオリンピック出場の基準として定める、テストステロン(男性ホルモン)血中濃度10 nmol/L 以下を競技参加1年前~競技中、長期間にわたって維持、という条件はかなり厳しい。
https://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2016-01-25-2
筋肉量的には、男性であったことの有利さはほとんど失われると思う。
ただ、一度、形作くられた骨格は変化しないので、骨量的には有利さが残るかも。

---------------------------------------------------
性別変更選手、東京五輪で出場可能に? 不公平批判も

IOCが認定基準緩和

2020年の東京で、性別変更をした選手が初めて五輪に出場する可能性が広がっている。国際オリンピック委員会(IOC)が性的指向による差別を禁じ、競技者の性別認定基準を緩和した。しかし、日本国内の対応は進んでおらず、情報も不足している。

米コロラド州コロラドスプリングスに住むジリアン・ベアデンさん(38)は東京五輪の自転車女子ロードで米国代表を目指す。「またレースに出られるとは思ってもいなかった。五輪出場は子どもの頃からの夢。あきらめない」

12年まで男子で活躍した。プロ契約の話もあった。だが、性自認は女性。「うそをついて生きる自分」がいた。競技への意欲が消え、自殺も考えた。だが、妻と2人の幼い子どもがいる。14年、女性になることを決めた。妻は決断を受け入れてくれた。

ホルモン治療を始め、健康のために自転車の練習を再開した。IOCが性別変更した選手の五輪出場条件を緩和したというニュースを見た時は、ジムで練習中だった。手術から2年という条件がなくなった。「トレッドミルから転げ落ちそうになるくらい驚いた」

ベアデンさんはすぐに米自転車協会に電話で相談した。16年、レースに復帰。17年、性別変更した女性として初めてプロのレースに出場。2勝を挙げた。来年のパンアメリカン大会に出て、東京五輪への足がかりにする計画だ。

米自転車協会は、ベアデンさんの例をもとに17年、IOCより寛容な独自のルールを定めた。同協会のレース出場資格6クラスのうち、下位3クラスの性別は、自己申告制だ。性別を変えた選手は2桁を超えた。チャック・ホッジ技術委員長は「自転車競技を広めることが我々の方針」と話した。

専門家「情報発信が必要」
IOCの方針に従って性別認定基準を緩める動きは競技団体に広がっている。陸上とテニスの国際団体は性別変更の規約を設けた。米国では自転車、バレーボール、トライアスロンなどが、英国ではサッカーやラグビー(15人制)が、ルールを明文化している。

その一方、女性へ性別を変えた選手は、生まれながらの女性と比べて体力的に優位で、互いが一緒に競技するのは不公平だという批判は根強い。

その渦中にいるのが、ニュージーランドの重量挙げ女子選手、ローレル・フバードさん(40)。男子で活躍した後、30代で性別を変更。昨年の世界選手権女子90キロ超級で銀メダルを獲得し、出場がかなえば東京五輪でもメダル候補になる。だが、今年4月の英連邦大会では開催国の豪州が出場資格取り消しを求め、ニュージーランド国内でも批判がある。

バレーボールでもブラジルの女子プロリーグで、欧州の男子プロの経験があるブラジル人選手が性別変更して活躍しているが、そこでも賛否両論がある。

日本では、13年の学術調査で性別変更を希望した事例が複数確認された。しかし、性別変更に関する規約などを持つ競技団体はない。日本スポーツ協会は、内規で競技の性別は戸籍の性としており、事実上、IOCが撤廃した性別適合手術を性別変更の条件に残す。

専門家は、まずは競技現場や社会で情報を共有することが重要だと指摘する。日本スポーツ協会に登録する指導者1万人以上が回答した最近の調査で、スポーツの場面は職場などと比べて性的少数者に出会う可能性が高く、現場の指導者が情報を求めていることがわかった。中京大の來田(らいた)享子(きょうこ)教授(スポーツ史)は、「実際に性的少数者の選手とスポーツをする機会を増やすなど、東京五輪までに情報発信を増やしていく必要がある」と話す。(忠鉢信一)
     ◇
〈IOCの性別変更ガイドライン〉 IOCは2015年、それまで求められていた性別適合手術を受けなくても、五輪に出場できるよう変更した。女性として生まれた選手が男子で競技に出るのは無条件。男性として生まれた選手が女子で競技に出るには、自認を宣言して4年間変更せず、血中の男性ホルモン(テストステロン)の値が12カ月間一定レベルを下回っていることを証明することが必要。

『朝日新聞』2018年7月21日15時00分
https://digital.asahi.com/articles/ASL6102JFL50UTQP03V.html?rm=914
nice!(1)  コメント(0) 

集団の均質性を維持するために、異質な者を排除する発想 [現代の性(性別越境・性別移行)]

7月18日(水)

今から半世紀以上前、男性のほぼ専有空間だった大学に女性が進出するようになったとき、一部の男性たちは(ほとんど難癖に近い)いろいろな理屈を駆使して、それを阻もうとした。

今回のトランスジェンダーの女子大受け入れ問題で、一部の(自称)フェミニストたちが唱えている反対言説は、それと瓜二つだ。

共通するのは集団の均質性を維持するために、異質な者を排除するという発想。

私が、主張する多様性の承認と尊重とはまったく相容れない。

歴史は繰り返すと言うが、あまりにも情けない。

学内には、男性の教職員、単位互換制度で通学してくる他校の男子学生もいる。
そういう状態に(おそらく)せいぜい数名のトランスウーマンの学生が加わったところで、女子学生の身の危険度が急上昇するとは、どう考えても思えない。

やはり、難癖としか言いようがない。

nice!(0)  コメント(0) 

お茶大は風呂屋じゃない! [現代の性(性別越境・性別移行)]

7月15日(日)

トランスウーマンが、お茶大に入ることと、女湯に入ることとを、同列に論じて反対している人がいるらしい。

大丈夫か?
この暑さで頭の中身が煮えてしまったのか?

どう考えても状況が違うだろう。

お茶大は風呂屋じゃない。
裸で入る場所ではない。

トランスウーマンになりすます奴がいるから駄目だという人たち。

たとえば、ある国で「日本人になりすました奴が犯罪を行ったから、日本人は全員入国禁止」と言われたら、「はいそうですか」と納得するのか?

私は納得できない。
要はそういうこと。

nice!(1)  コメント(1) 

トランスジェンダー包摂的な女子大学像 [現代の性(性別越境・性別移行)]

7月15日(日)

社会デザイン学会・大会で高橋裕子津田塾女子大学長の講演をうかがう。

アメリカの名門女子大学(Seven Sisters)のトランスジェンダー受容・包摂の詳細な調査研究に裏付けられた論理と明快な語り口。

social justice(社会的公正) とgender equity(ジェンダー平等)をベースにした、woman centered(女性中心) でtrans inclusive(トランスジェンダー包摂的) な女子大学像を提示。

2020年度の導入に向けて学内調整に十分な自信がある様子。
お茶大、奈良女子、津田塾、日本女子、東京女子の5女子大から、さらに波及も。

nice!(1)  コメント(0) 

7月15日(日)第13回「社会デザイン学会」大会 [現代の性(性別越境・性別移行)]

7月15日(日)  晴れ  東京  34.5度  湿度59%(15時)

10時、起床。
朝食は、カップケーキとコーヒー。
180715-1.JPG
12時20分、家を出る。
白い百日紅も咲き始めた。
IMG_2816.JPG
今日も暑い。

昼食は駅前の回転寿司(4皿)。
180715-2 (1).JPG180715-2 (2).JPG

東急東横線から東京メトロ副都心線に入り池袋駅へ。
メトロ丸の内線に乗り換えて茗荷谷駅へ。

今まで縁がなかった跡見学園女子大学を探す。
けっこうわかりにくい路地の奥にあった。
IMG_2820 - コピー.JPG

第13回「社会デザイン学会」大会へ。
IMG_2821.JPGIMG_2822.JPG
年1度の大会なのに、70人ほどのこじんまりした学会。
しかも、若い人が少なく、3分の2以上が中高年。

「ともに自分らしく生きられる社会を目指して ~性とジェンダーと社会デザインを考える~ 」というテーマだが、LGBT関係者は、石坂わたるさん(中野区議会議員)くらいで、ほとんどいない。

4本の講演をうかがう。
① 西尾孝幸(弁護士)
「セクシュアル・ハラスメント、その現状と制度について」
② 金澤恭平(特定非営利活動法人ReBit・就活事業部マネージャー)
「LGBT、出張研修の現場から見た職場における取組について」
③ 田中かず子(ファーメント代表、国際基督教大学元教授)
「性的マイノリティと大学での取り組みの経験から
④ 高橋裕子(津田塾大学学長)
「社会と教育におけるLGBTの権利保障について」

IMG_2823 - コピー.JPG
↑ たそがれ時(19時02分撮影)。
池袋方面を望む。

懇親会にも参加。

ほとんど北山晴一会長への義理で参加したようなものだったけど、田中かず子先生に久しぶりにお会いできたこと、高橋裕子学長にご挨拶してお話できたこと、笠原清志跡見学園女子大学の面識をえたことは、良かった。

20時、辞去。

武蔵小杉駅の「タリーズ・コーヒー」がまだ開いていたので、ちょっと休憩。
180715-3.JPG

22時、帰宅。

お風呂に入って汗を流す。
W杯、決勝戦を観る。

就寝、3時。


nice!(0)  コメント(0) 

トランスウーマンを性暴力の加害者予備軍のように語るな! [現代の性(性別越境・性別移行)]

7月14日(土)

フィミニズムの立場をとる人の中に(ジェンダーではなく)身体構造本質主義に立って、トランスフォビアを平然と表明して、トランスウーマンを女性として認めず排除する人々が、ある程度の割合でいることは、じぶんの経験から実感的に承知していた。

ただ、アメリカなどに比べると、日本ではそういう人たちはかなり少ないと思っていた。

今回のお茶の水女子大学のトランスジェンダー受け入れ表明に関するTwitter議論を見ていると、思っていたより排除派がいることがわかった。

もちろん、容認派が圧倒的に多数で、排除派が少数なことには変わりはない。
今まで感覚的に排除派は10%くらいかなと思っていたが、20%くらいに認識を改めなければならないと思った。

トランスウーマンを虞犯者(犯罪予備軍)視することは、明治時代に警察と新聞によって意図的に流布・強化された認識だけど、21世紀の今になっても、一部の人々の間に根強くあることが、今回のお茶大の件で露わになった。

今後、そこが性的多様性を本当に認めるのか、否かのポイントになるように思う。
トランスジェンダーを性犯罪予備軍のように見なす人たちが唱える「性的多様性」など、とうてい信じる気にはなれないし、そうした人たちと共闘することもない。

性暴力において、トランスウーマンが被害者になるケースは、加害者になるケースに比べて圧倒的に多い。
100倍、いや、おそらく1000倍くらい、もっとかも。

海外では、トランスジェンダーと言うだけで、殺されてことさえ珍しくない。

そうした実態を無視して、トランスウーマンを性暴力の加害者予備軍のように語ることが、どれだけ偏見に満ち、暴力的で、心無い行為か、よく考えてほしい。

そもそも、ペニスが付いているから性暴力の加害者予備軍という認識がおかしい。
「頭、煮えてるの?」と言いたくなる。

トランスウーマンにペニスが付いていることと、それが機能するかは別の話。
まして、女性をレイプする道具に使うかは、まったく次元が異なる。

女子大への進学を希望し受け入れられるレベルのトランスウーマンだったら、ほぼ間違いなく女性ホルモンの継続的な投与を受けている。
そうしたら、女性をレイプする道具としては、まずもって機能しない。
そんなこともわからずに、トランスウーマンを性暴力の加害者予備軍のように語るな!


nice!(0)  コメント(0) 

中央大学×LLAN連続講座(第3回)「LGBTと法律 性別の変更について考える」</ [現代の性(性別越境・性別移行)]

7月14日(土)

中央大学×LLAN連続講座「LGBTをめぐる法と社会-過去、現在、未来をつなぐ」(第3回)
             2018.07.14
  
「LGBTと法律 性別の変更について考える」
    三橋順子(明治大学非常勤講師:性社会文化史)

1「GID特例法」以前の性別移行にともなう戸籍の続柄訂正事例
(1)布川敏の事例(*1、2、3)
・ 布川敏(源氏名:ボケ、男性名:敏之)は、1927年生(昭和2)、老舗のゲイバー「青江」のNo1ホステスとして活躍、1974年、アメリカのスタンフォード大学病院で性転換症の診断に基づき造膣手術を受けた(37歳)。一時帰国した際に、名前の変更を相談した東京家庭裁判所の相談員に戸籍の続柄(性別)訂正の可能性を示唆され、手術証明書などの書類を用意して戸籍の続柄訂正を東京家庭裁判所に申請し、1980年11月12日に同裁判所で許可となり(東京家裁昭和55年10月28日審判)、同17日に港区役所で名前の変更と続柄(性別)の訂正(長男→長女)が行われた(*4)。その後、1983年、女性としてのアメリカ人男性と結婚した(*5)
・ この事例について、法務省民事局第二課は「家裁の許可書と戸籍謄本、それに印鑑と戸籍訂正申請書を市役所に持っていけば、戸籍の性も変えられる。こういったことは、今や全国的に可能とみていいでしょう」とコメントしている(*4)
・ しかし、布川の戸籍性別訂正の事実は、いつしか忘れ去られてしまった。1990年代後半、国内における性転換手術が性同一性障害に対する医療行為として社会認知を得た後、次の課題として手術後の戸籍の性別変更問題浮上してきた際、法務省は一貫して「訂正を認めた事例は無い」としていた。
・ これに対し、三橋は『週刊文春』の記事の存在をマスコミ関係者に知らせ、と連携して布川の所在を捜し、ハワイでレストランを経営していることを突き止め、本人から戸籍のコピーの提供を受け、性別訂正が事実であることを1999年3月に確認した(*6)。写真週刊誌『FLASH』(光文社)がまず報道し、さらに同年6月に「サンデー・プロジェクト」(テレビ朝日)が本人のインタビューを含む特集を放送した。        
・ その後、東京家庭裁判所もこの事実を確認し(*7)、「訂正を認めた事例は無い」とする法務省見解は崩れることになった。
布川敏(1999年)1 - コピー (2).jpg
布川敏(戸籍)2 (2).jpg
  
(2)永井明子の事例(*8)
・ 永井明子(男性名:明)は、1924(大正13)年、東京葛飾区の生まれで、聖路加病院に雑役夫として勤めていた時に、男性への愛情をきっかけに転性を決意し、1950年8月から51年2月にかけて東京台東区上野の竹内外科と日本医科大学付属病院(執刀:石川正臣教授)で2回に分けて精巣と陰茎の除去手術と造膣手術を受け、さらに別の病院で乳房の豊胸手術を受けた。インターセックスではなく、完全な男性からの「性転換」で、手術完了の時点で27歳(*9)。
・ イギリスのRoberta Cowell(男性名: Robert)の事例(1951年5月)よりわずかに早く、戦後世界初の「性転換手術」である可能性が大。
・ 永井は、手術後、1954年11月までの間に、「明」から「明子」への改名と、「参男」から「二女」への続柄(性別)の訂正を行っている(*10)。おそらく、戸籍法113条による訂正と思われる。
永井明子(『日本週報』1954年11月5日号).jpg永井明子2.jpg

※ 少なくとも1980年までは、「性転換症」の診断で「性転換手術」を受けた人が、戸籍法113条によって、家庭裁判所で戸籍の続柄(訂正)をすることは可能だった。法務省もそれを認めていた。「染色体主義」が台頭し認められなくなるのは、名古屋高裁昭和54年(1979)11月8日決定(二男→長女・却下)が最初。

2 「GID特例法」制定時の議論
(1)2つの路線
① 立法(特例法)路線(大島俊之神戸学院大学教授)
「大島3要件」(GID診断・手術済・非婚)を盛り込んだ「性転換法」の実現を目指す。
② 戸籍法(113条)改訂路線(三橋順子)
過去の訂正事例をベースに、戸籍法113条の条文改訂により、性別訂正の間口を広げることを目指す。
 当初、大島教授も②の路線に近かった(戸籍法113条の「錯誤」の意味の拡大解釈*3)が、その後、路線転換。

(2)「GID特例法」への批判 
・ 医療を前提にし、対象を「性同一性障害者」に限定した枠組み
(トランスジェンダリズムからの批判)
・ 非婚要件 (レズビアンの土屋ゆきからの批判)
・ 子無し要件(子どもがいる当事者からの強い反対「子供を殺せ、と言うのか!」)
・ 生殖能力喪失要件(生殖権との安易なバーターへの疑問:三橋 *11)
・ 外性器近似要件(性器形態至上主義、「近似」の曖昧さへの疑問:三橋)

3 「新・性別移行法」の制定に向けて
(参照1)ジョグジャカルタ原則(2007年3月26日、国際連合人権理事会で承認)
第3原則 法の下に承認される権利
万人はあらゆる場所において法の前に人としてその人格を承認される権利を有する。多彩な性的指向や性同一性を持った人々は生活のあらゆる場面において法的能力を享受する。各個人の自己規定された性的指向や性同一性はその個人の人格に不可欠なものであり、自己決定権、尊厳、自由の最も基本的側面の一つである。性同一性の法的承認、つまり法的性別変更の条件にホルモン療法や不妊手術や性別適合手術といった医学的治療は必須とされない。結婚している、あるいは親であるといった社会的身分もその当事者の性同一性の法的承認つまり法的性別変更を妨げない。万人は性的指向や性同一性を否定したり、揉み消したり、抑圧するよう圧力をかけられない。

(参照2)WHO(世界保健機関)など国連5機関共同声明(2014年5月30日)
「強制・強要された、または不本意な断種手術の廃絶を求める共同声明」(Eliminating forced, coercive and otherwise involuntary sterilization - An interagency statement)
トランスジェンダーやインターセックスの人々が、希望するジェンダーに適合する出生証明書やその他の法的書類を手に入れるために、断種手術を要件とすることは身体の完全性・自己決定の自由・人間の尊厳に反する人権侵害である。

(1)「性同一性障害者特例法」の問題性
① ICD-11の採択で、「性同一性障害」という病名がなくなり「性同一性障害者」が定義不能に。
② 精神疾患でなくなったことにより、第二条の専門医(精神科医)2人による「性同一性障害」の診断を求める論理的前提が崩壊。
③ 第三条の二、三項(非婚要件・未成年の子なし要件)は、ジョグジャカルタ第3原則に明らかに抵触。
④ 生殖機能喪失要件(第3条4項)を明記しているので、ジョグジャカルタ第3原則、国連諸機関共同声明に明らかに抵触。
    → 欧米の人権思想・国際人権法の文脈では、日本で言う「性別適合手術」も  
     「sterilization surgeries」(断種手術・不妊手術)のひとつになる。
     まして「性別適合手術」が性別変更の要件になっている場合は「involuntary」(非自発的な、暗黙の強制に近いニュアンス)と見なされる。
トランスジェンダー人権地図.jpg

(2)新たな「性別移行法」の必要性
・ 性別の移行に際し、病理を前提とする「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」のような法制度はすでに過去のもの。
・ 現行の「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(2003年)には、国際的な人権法に照らして様々な問題がある。
・ 現状は、性別の変更を望む人たちの人権が侵害された状態。
   戸籍変更のために必ずしも望まない手術を受けざるを得ない。
    費用負担、身体への負荷、医療事故のリスク
・ 現行の「GID特例法」を廃して、人権を前提とし、ジョグジャカルタ原則や国連諸機関共同声明などの国際的な人権法に則った、新たな「性別移行法」を制定する必要がある。 

(3)「新・性別移行法」の制定のポイント
① 病理を前提としない。
② 年齢以外の要件を規定しない。
③ 家裁での審判システムを残す。  
   ← 形式的であっても乱用防止の効果
④ 「お試し期間」(Real Life Experience)を設ける。   
   ← 性別移行の実質性の担保
⑤ 興味本位の乱用や再変更の頻発を防止する工夫。 
    → 申請と許可の間に「熟慮期間」として一定期間(1年)を置く
    →「お試し期間」にもなる

※ 現在の政治状況では、実現は容易ではないが、
 国際的な人権概念(性別の自己決定)に照らして、恥ずかしくない法制度を!  より多くの性別移行を望む人たちが享受できる法制度を!    たとえ一歩ずつでも前へ!

*1 三橋順子「性転換の社会史(2) -「性転換」のアンダーグラウンド化と報道、1970~90年代前半を中心に-」
  (『戦後日本女装・同性愛研究』中央大学出版部、2006年3月)
*2 山内俊雄『性転換手術は許されるのか ー性同一性障害と性のあり方ー』
  (明石書店、1999年9月)
*3 大島俊之『性同一性障害と法』(『日本評論社、2002年6月』)
*4「性転換して女の戸籍を闘いとった“男”の術前術後」
  (『週刊文春』1981年4月23日号)
*5「性転換手術で女の戸籍を得た男が、本物の男と結婚していた」
  (『週刊文春』1986年5月1日号)
*6「日本で一人! ♂→♀に戸籍変更の“性転換熟女”」
  (『FLASH』1999年3月30日・4月6日号)
*7 東海林保「いわゆる性同一性障害と名の変更事件、戸籍訂正事件について」(『家庭裁判月報』52-7、2000年)
*8 三橋順子「性転換の社会史(1)-日本における「性転換」概念の形成とその実態、1950~60年代を中心に-」
  (『戦後日本女装・同性愛研究』中央大学出版部、2006年3月) 
*9 第1報は『日本観光新聞』1953年9月4日号・9月18日号)。詳報は「日本版クリスチーヌ 男から女へ キャバレーの女歌手で再出発」(『週刊読売』1953年10月4日号)
*10「恐ろしい人工女性現わる!-宿命の肉体“半陰陽”-」(『日本週報』1954年11月5日号)
*11 三橋順子「往還するジェンダーと身体-トランスジェンダーを生きる-」
 (鷲田清一編『身体をめぐるレッスン 1 夢みる身体 Fantasy』 岩波書店 2006年11月)
nice!(1)  コメント(0) 

お茶の水女子大学、トランスジェンダー受け入れ、新聞各紙の比較 [現代の性(性別越境・性別移行)]

7月12日(木)

お茶の水女子大学がトランスジェンダーを受け入れることについての新聞各紙の記事の比較。

いちばん熱心なのは朝日新聞。10日朝刊に大きな記事、11日朝刊に記事と社説。
文字数が多く内容が詳細で、コメントも各方面に(私のコメントも)取っている。
ただし、社説は論点が分裂していて、知っていることを並べた駄目な学生のレポートみたい。
朝日新聞20180710 - コピー.jpg
↑ 10日朝刊
朝日新聞20180711 - コピー.jpg
↑ 11日朝刊
朝日新聞20180711社説 - コピー.jpg
↑ 11日朝刊・社説
それと他紙と比較して気になるのは、見出しに「心は女性」「心の性」を連発し、「トランスジェンダー」を使っていないこと。
お茶大は公式発表で「性自認」「トランスジェンダー」と言っているのに、なぜ使わないのだろう?

読売新聞は10日夕刊に事実関係だけの記事が掲載された模様(紙面未入手なので未確認)。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180710-OYT1T50077.html
あまり熱意は感じられない。

毎日新聞は11日朝刊に記事と社説。
記事に付された藤沢美由紀記者の解説が的確。
性別違和の問題を、長年、取材してきた蓄積が生きている。
毎日新聞20180711 - コピー.jpg
↑ 11日朝刊
毎日新聞20180711社説 - コピー.jpg
↑ 11日社説

日本経済新聞は10日夕刊で事実関係を報じ、11日朝刊に解説主体の記事。
京都府立高校教員で大阪府立大学のトランスジェンダー大学院生でもある土肥いつきさんの「トランスジェンダーが大学に入ってもなにも起きない」というコメントを掲載したのは秀逸。
日本経済新聞20180710夕刊.jpg
↑ 10日夕刊
日本経済新聞20180711 - コピー.jpg
↑ 11日朝刊

東京新聞はお茶大OGの奥野斐記者が担当だが、事実関係だけ。
「地元」紙なのだから、もう少し突っ込んでもよかったと思う。
東京新聞20180711 - コピー.jpg
↑ 11日朝刊

産経新聞は11日朝刊に事実関係の記事。
とくに批判的な見解は見られない。
産経新聞20180711.jpg
↑ 11日朝刊

ついでに、「NHKニュース」(2018年7月10日 12時11分 教育)も。

お茶の水女子大学 トランスジェンダーの学生受け入れを発表

東京・文京区にあるお茶の水女子大学は、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの学生を、2020年度から受け入れることになりました。

これは、お茶の水女子大学の室伏きみ子学長が10日、記者会見を開いて明らかにしました。

それによりますと、大学はこれまで入学の条件を戸籍上の女性に限定していましたが、2020年度からは戸籍上の性別が男性でも、本人が自覚する性別が女性であるトランスジェンダーの学生も受け入れることを決めたということです。

受け入れに向けて、大学は委員会を設置して受験者がトランスジェンダーであることを確認する方法を検討するとともに、トイレなど必要な施設の整備を進めるということです。

大学は学生や保護者などに対し説明会を開く予定で、室伏学長は「多様な性への理解が求められる中、すべての女性が差別や偏見から解放され、学問を学べるようサポートしたい」と話しています。

お茶の水女子大学は、明治時代に日本で初めての女性の高等教育機関として創設され、現在は学部生と大学院生、合わせておよそ3000人が学んでいます。

文部科学省によりますと、国内の女子大学は国公私立合わせて77校ありますが、今回のお茶の水女子大学のようにトランスジェンダーの入学を容認するケースは異例だということです。

学生「当たり前」「広まるきっかけに」
お茶の水女子大学に通う学生からは、トランスジェンダーの受け入れに前向きな声が聞かれました。

大学3年の学生は「この取り組みによって、全国の女子大学でトランスジェンダーの学生の受け入れが広まるきっかけになってほしいです」と話していました。

別の学生は「ようやく当たり前の取り組みが女子大学でもは始まったなと思いました。ジェンダーについて理解のある教員や学生が多いと思うので、戸惑いもあるかもしれないが、みんなで学んでいきたい」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180710/k10011526201000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001
nice!(1)  コメント(1) 

お茶の水女子大学、トランスジェンダー学生の受け入れを決定 [現代の性(性別越境・性別移行)]

7月11日(水)

ちょっとだけ、コメントが載りました。

『朝日新聞』2018年7月11日朝刊
朝日新聞20180711 - コピー.jpg

記事の見出しに「トイレや更衣室整備」とあるが、論理的に言えば、大学が「女子扱い」で入学を許可したのに、トイレや更衣室を「女子」と別扱いにするのは、矛盾している。

施設管理者(大学)が「女子」認定しているのだから、女子トイレや女子更衣室を使用するのに問題はないはず。

まあ、現実にはなかなかそう簡単にはいかないのはわかるけど。

私も2005年度、お茶大に非常勤講師で呼ばれた時は、「学内女性扱い」だったので、女性トイレを使えたはずだが、実際には多目的トイレを使っていた。

トイレの使用は、変に規則化せず、ケース・バイ・ケースがいちばん現実的だと思う。

nice!(0)  コメント(0) 

お茶の水女子大学の記者会見の要旨(又聞き) [現代の性(性別越境・性別移行)]

7月10日(火)

明治大学(駿河台)「ジェンダー論」の講義の後、取材に来た某新聞記者に逆取材した、お茶の水女子大学の記者会見の要旨。

① 女子大学という形態は堅持する。学内から共学化の意見は出ていない。
② 「女子」限定の入学条件(学則)も変えない。ただ「女子」の解釈を従来の戸籍性のみから「性自認」にも拡大する。
③ 具体的に、トランスジェンダーの受験希望者には「受け入れ委員会」(のようなもの)を設置して対応する。
④ トランスジェンダーの受験希望者には、一般の受験希望者とは別枠で、事前に受験申請書を提出してもらう。
⑤ 受験申請書には、性自認(が女性であること)の証明書類(必ずしも診断書とは限らない)を添えてもらう。
⑥ ただし、証明書類がなくても、受験申請は受け付ける(が受験を認めない場合もある)。
⑦ 「受け入れ委員会」は入学後の学生生活についても相談に応じる。

又聞きなので、誤りがあるかもしれないが、だいたいこんな感じ。
受験希望者が願書を出す前に、ある程度(どの程度かはわからない)フィルターにかけるという仕組みは、「なるほど」と思った。

以下は、私の推測というか感触。

建前としては「性自認が女性であること」が受験申請の条件になっているが、現実にはトランスジェンダーであることの実質性(女性として生活していること)が求められるように思う。

完璧でなくてもある程度は女性として社会適応していないと、女子大学における学生生活はかなり辛いものになり、本人のためにならないと思うから。

つまり、それまで男性として生活していて「これから女子大生をします」というような人は、おそらく受験NGになるのではないか、という推測。

あと、難しいのが、すでに4年制大学を卒業しているトランスジェンダーが、女子大生になりたい、女子大の卒業証書を得たい、それによって「女子」してとと認められたいという「承認欲求」から、受験申請するケース。

こうしたケース、必ず出てくると思う。
それが悪いこととは思わない。
明確な判定基準は設定しにくいが、受験(志望)動機が今回の特例措置の趣旨に適合しないように、私は思う。

より多くのトランスウーマンに女子大学での就学の機会を開くという理念(理想)と、実際の女子大の教育・研究・キャンパスライフを混乱なく円滑に行うという現実の間で、難しい選択(判断)を迫られることになると思う。

nice!(0)  コメント(0) 
前の10件 | - 現代の性(性別越境・性別移行) ブログトップ